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黙殺された李沅䄷検察総長の「7秒間の沈黙」

黙殺された李沅䄷検察総長の「7秒間の沈黙」

Posted May. 16, 2024 08:51,   

Updated May. 16, 2024 08:51

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李沅䄷(イ・ウォンソク)検察総長は、13日に行われた検察の幹部級人事の発表前に「時期を遅らせてほしい」と朴性載(パク・ソンジェ)法務部長官に要請したが黙殺されたという。李総長は11日、朴長官を面談した席で「主要捜査が緊迫している」として人事を先送りしてほしいとの意見を出したが、法務部が人事を強行したという。人事の内容も、李総長の意見とは異なる方向で行われたという。「人事について事前の調整はあったか」という取材陣の質問に対し、李総長が7秒間沈黙し「これ以上申し上げたくない」として迂回的に不満を表わした理由だ。

検察庁法は、「法務部長官は検察総長の意見を聞いて、検事の役職を提請する」と定めている。慣行的に長官と総長が人事について協議してきたが、2004年から法に明文化したのは総長の意見を実質的に反映させるという趣旨からだ。総長が人事で自分の声を出すことができてこそ、捜査指揮権者としての令が立ち、そうしてこそ検察捜査が外圧の影響から脱することができるからだ。ところが今回の人事は協議する形式を取っただけで、内容と時期ともに事実上総長を「素通り」したも同然だ。

検察人事で総長との協議が重要であることを誰よりもよく知っているのは尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領だ。2020年1月、当時の秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官は、検察総長だった尹大統領と相談せず、与党の主要関係者らに関連した捜査を指揮していた検察幹部らを地方に送る人事を行った。当時尹総長は、「(検察庁法の)人事協議というのは、実質的に議論をしろという意味だ」として反発した。そう言っていた尹大統領の政権下で似たような問題が繰り返されること自体が矛盾している。そのため「金建希(キム・ゴンヒ)夫人の捜査のためではないか」という指摘が出ている。直ちに野党は、「検察をさらに強く握り、金夫人の防弾に出るというシグナルだ」と批判している。

もはや国民が注目するのは、検察の人事後、金夫人の捜査が適切に進められるかどうかだ。李総長は、「人事は人事、捜査は捜査だ」として金夫人捜査への意志を示した。しかし、ドイツモータースの捜査は、尹大統領が総長だった時代にはく奪された指揮権がいまだ復元されておらず、李総長は関与することができない。新しいソウル中央地検長がどのような態度を見せるか、金夫人関連事件を担当している部長検事が交代するかなども捜査に影響を及ぼす影響要因となっている。どのような状況であれ、原則に沿って捜査を導かなければならないのが李総長の責務だ。金夫人の捜査がうやむやになれば、人事で検察を揺さぶった大統領、その前で無気力になった検察いずれも重い責任を避けることはできないだろう。