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国際社会に帰ってきた米国をめぐる競争

Posted December. 11, 2020 08:59,   

Updated December. 11, 2020 08:59

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トランプ米大統領の執拗な選挙結果の受け入れ拒否と妨害にもかかわらず、「バイデン時代」は近づいている。40日後に就任するバイデン前副大統領は、前任者と異なる道を行くと言ってきたし、そのようにするようだ。海外の国家は、世界最強大国の新たな大統領がどのような外交安保政策を展開するのか、自国にどのような影響を及ぼすことになるかに大きな関心を寄せている。

バイデン氏の外交安保政策の方向は、「米国が帰ってきた(America is back)」で象徴される。バイデン氏は世界を、特に民主主義陣営を「導く(lead)」と主張する。トランプ氏とは違って、国際的な問題に積極的に関与するという趣旨だ。

バイデン氏が就任直後、どの問題から手をつけるかは、残された時間に決まるだろう。世界各国は、バイデン氏の視線を引き付けるために、またはバイデン氏の就任後に有利な位置で関係を築くために各自のやり方で動いている。

挑発的方法で関心を集めたのはイスラエルだ。先月末、イランの核科学者モフセン・ファクリザデ氏暗殺事件の背後にイスラエルが深く関与したという見方が優勢だ。英エコノミストは、「イランとの核合意に復帰しようとするバイデン氏の努力を妨害する狙いがある可能性が高い」と分析した。バイデン氏は、トランプ氏が離脱したイラン核合意(JCPOA)に復帰し、イランとの関係改善を図る考えを持っている。これに対してイランと敵対関係のイスラエルが、ファクリザデ氏を暗殺することで、バイデン氏の動きを委縮させようとしたのだ。

バイデン氏の政策に同調することで、関係強化を模索する国もある。トランプ氏の在任中、関係が疎遠になった欧州が最も積極的だ。米紙ワシントン・ポストは、「気候変動、パンデミックなど様々な領域で米国との協力が必要な欧州は、米国の新しい指導者と関係改善の転機をつくるために足早に動いている」と分析した。北大西洋条約機構(NATO)は最近、報告書で、中国が民主主義国家に脅威になると指摘した。バイデン氏の対中強硬路線に合致する内容だ。NATOが来年初めに開かれる首脳会議にバイデン氏を招待したのも同じ脈絡だ。

日本もバイデン氏にラブコールを送っている。菅義偉首相は4日、記者会見で、「コロナ感染状況も見つつ、できる限り早い時期に会おうということで一致をしている」とし、早期に首脳会談を推進する意向を明らかにした。

沈黙して緊張感を引き上げる方法もある。ロシアのプーチン大統領は、米国内の法的手続きが終わった後、バイデン氏を認めることができると話す。北朝鮮はバイデン氏について一切言及していない。中国の習近平国家主席は先月末、バイデン氏に祝辞を送ったが、他国に比べて半月以上遅かった。これらの国は意図的に発言を控え、バイデン氏の動きを探っている。

このように、世界各国が各自の戦略によってメッセージを送るのは、バイデン氏が任期序盤に外交・安全保障に注ぐことができるエネルギーが制限的だからだ。バイデン氏としては、新型コロナへの対応をはじめ、国内政策が至急だ。そのため、外交安保政策の優先順位から一度押し出されれば、再び前に行くのに時間がかかる。トランプ政権の間に緩んだ韓米同盟をバイデン政権で迅速に回復するには、韓国も今動かなければならない。


張澤東 will71@donga.com