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81歳の黄晳暎さん、「絶筆する年齢だが私はあと3冊もっと書く」

81歳の黄晳暎さん、「絶筆する年齢だが私はあと3冊もっと書く」

Posted May. 20, 2024 08:53,   

Updated May. 20, 2024 08:53

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「世界の多くの作家も私の年齢で絶筆宣言をしました。私はもう少し書こうと思っています。あと3冊書けばいいと思います」

17日(現地時間)、英ロンドンの文化複合施設サウスバンクセンターで開かれたブッカー賞インターナショナル部門の最終ノミネート者朗読会で、作家の黄晳暎(ファン・ソクヨン)さん(81)はこのように語った。杖をついて現れた黄さんは、「今朝、トイレが滑りやすくて転んだせいです。私はまだ元気です」と言うと、客席からは大きな笑いと拍手が起こった。

黄さんは、2020年に出版した小説『鉄道員三代』(英語版「Mater 2-10」)で英国のブッカー賞インターナショナル部門にノミネートされた。ブッカー賞はノーベル文学賞、フランスのゴンクール賞と並んで世界3大文学賞に数えられる。英語に翻訳された非英語文学作品を対象とするブッカー賞インターナショナル部門の最終ノミネート作品には、『鉄道員三代』を含む6作品が選ばれた。『鉄道員三代』は、鉄道員家族を取り巻く物語を通じて、日本植民地時代から現在までの近現代史を描いた小説だ。ブッカー賞インターナショナル部門の受賞者発表を控え、黄さんは16日に英国に出国した。

黄さんは、朗読会で小説の一部を抜粋して朗読した後、執筆のきっかけ、過程などを話した。黄さんは、「1989年に訪朝した当時、ソウル永登浦(ヨンドゥンポ)出身の元鉄道機関士に会ったことがきっかけ」と語った。永登浦地域で幼少期を過ごした黄さんは、「小学校の時、木造建築物だった学校で火災が発生し、トイレが燃えて町中に臭いが充満した逸話などを話し、互いに通じた」と話した。

また、「韓国文学で近代産業労働者の生活と闘争を扱ったことがないので、その欠落した話を取り上げたいと思った。もう一つは幼少期を過ごした永登浦の思い出を盛り込んだ小説を書きたいと思った」と明らかにした。そのうえで、実際に出版に至るには30年の時間が必要だったという。黄さんは、「亡命と獄中生活をし、その後は検閲があった。検閲が解除された後も、日本植民地支配期の社会主義運動を正面から扱うのが大変で、時間を待った」とし、「パンデミックの期間、この作品の執筆に没頭した」と話した。

ブッカー賞インターナショナル部門は作家と翻訳者が共に候補になり、受賞すると5万ポンド(約8500万ウォン)の賞金も均等に分け合う。同日の朗読会では、黄さんとともに翻訳家のソラ・キム・ラッセル、ヨンジェ・ジョセフィン・ペさんも登壇した。

朗読会終了後に行われたサイン会では、読者が黄さんのサインをもらおうと長い列を作った。現場に出席した出版社「創批」関係者は、「本の販売、サインを受ける列も(黄さんが)一番長かった」と伝えた。最終受賞作品は21日にロンドンで行われる授賞式で発表される。


柳原模 onemore@donga.com