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「べたつくブルース?誤解と偏見を壊しました」

「べたつくブルース?誤解と偏見を壊しました」

Posted April. 02, 2020 08:07,   

Updated April. 02, 2020 08:07

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ユ・ソンウン氏(57)はいつも怒っている。ブルースのためだ。彼が最近、初著書「ザ・リアル・ブルース」(コミュニケーションブックス・写真)を出した。

「振り返ってみれば、私の執筆動機の中には確かに怒りがありますね。世の中には必ずあるべき本があり、そんな本が(少なくとも)一つずつは実際に存在すべきだと思います」

「騙された時間が悔しくて」と言った。ユ氏が初めてブルースに接したのは、1970年代にラジオや音楽雑誌を通じてだった。

「アニマルズ、クリーム、ブルースブレイカーズのような英国のブルース・ロックを主に紹介しました。『カントリー・ブルース』のような、それ以前の時代の本当のブルースは知らないまま、あんなものがブルースだと信じていました。当時、ラジオDJと評論家たちが国民に誤った情報を与えていたわけですが、これに一歩遅れて気づき、怒りを抑えるのに相当時間がかかりました」

広告会社に勤めていたユ氏は、1990年代に仕事のために米国を行き来しながら現地の「本物」のブルースを知ることになった。研究を始めた。それに嵌るほど、世界が深かった。彼は、「私が好きなことを勉強してやっていたところ、最後(本執筆)まで来たのだ」と話した。

ユ氏は、「今でもブルースに関する偽ニュースがあふれている」と話した。「これは本物だ」という意味で、本のタイトルをあえて「ザ・リアル・ブルース」と名付けたという。

「代表的な誤解は『ブルースには黒人奴隷の哀歓が込められている』というものですね。哀歓、苦しみ、叫び声、べたつき…。そんなものはブルースとは何の関係もありません」

エリック・クラプトン、ゲイリー・ムーアが国内で人気を集めて、ブルースの本質が誤解を招いたこともあると彼は言う。

「クラプトンのヒット曲は全てがポップバラードですね。BB・キングの代表曲は、すべて他人が作った曲です。米国のショー番組で『BB・キング、キング・オブ・ザ・ブルース!」』と紹介したことで、代表というイメージが固まりました。二人とも素晴らしい音楽家であることは否めませんが、問題は、過大評価されていることです」

ユ氏は、マディ・ウォーターズ(1913〜1983)、ロバート・ジョンソン(1911〜1938)の曲から聞くことを勧めた。

376ページにのぼる「ザ・リアル・ブルース」には、怒りを理性で治めように、ユ氏の几帳面さが詰まっている。ロバート・ジョンソン、チャーリーパットン、サンハウスのような古典的ブルースの英雄たちの物語を、キャラクター列伝のように興味深く繰り広げた。大恐慌と戦争がブルースの発展と流行にどのような影響を及ぼしたのかを、深みをもって指摘した。

「音楽家の身辺雑事、歌詞の分析に重点を置いた音楽書籍に私は嫌気がさしました。皆がブルースを知る必要はありません。ただ、ブルースについて上辺だけを知っているのなら、この本が必要です」


イム・ヒユン記者 imi@donga.com