Go to contents

半導体を「必須公益事業」に指定するのはどうか

半導体を「必須公益事業」に指定するのはどうか

Posted June. 02, 2026 08:50,   

Updated June. 02, 2026 08:50


2005年夏、アシアナ航空の操縦士労組がストライキに突入した。休暇に出かけようとしていた旅行客の足が止まり、航空物流の混乱で被害を受ける企業も続出した。韓国政府は結局、25日後に「緊急調整権」を発動し、ストを強制中止させなければならなかった。その年の冬には、今度は大韓航空の操縦士労組が運航を拒否した。政府は4日で再び緊急調整権を発動した。1963年に導入された緊急調整権は、これまで4回しか発動されていないが、そのうち2回がこの年に行われたものだった。空の便が止まった時、国家経済がどれほど混乱に陥るかを経験した政府は、翌年、法改正に乗り出し‘‘た。労働組合および労働関係調整法(労組法)に明示された必須公益事業の範囲に、「航空運輸事業」を加えることにしたのだ。その結果、航空会社は2008年から必須公益事業場に分類された。労組のスト時にも代替勤務を認め、国際線80%、国内線70%という最低運航率を維持するようにした。

20年前の話を持ち出したのは、先月寸前まで迫った三星(サムスン)電子労組ストが衝撃的だったからだ。平均年俸が1億ウォンを超える組合員らが成果給5億~6億ウォンを要求しても、会社としてはスト危機の前で無力であるしかなかった。工場が止まれば被害が100兆ウォンに達するとの予想が出る中、政府も緊張感を示したが、できることはほとんどなかった。7万人の組合員の決定一つで、今年の国家予算の7分の1が吹き飛びかねなかったのだ。

幸い、半導体工場シャットダウンという最悪の事態は起きなかった。しかし、三星電子労組は、半導体事業場におけるストがどれほど強力なカードなのかを改めて確信しただろう。クレーンに登ったり、建造中の船体底部に入り込んで「セルフ監禁」をしなくても、無条件で勝てるゲームだという事実をだ。だから今後も、労組は要求事項が生じるたびに、ストという万能の鍵を持ち出すかもしれない。実際、三星労組の「完勝」を見守ったSKハイニックス労組は、「我々にも三星並みに数億ウォンを低利融資してほしい」と要求する予定だという。

そこで慎重に取り沙汰されているのが、半導体の「必須公益事業」指定だ。半導体のように国家経済で絶対的地位を占める産業が、一利益集団によって揺さぶられるのは不合理だとの共感が広がっているためだ。半導体は今年1~5月累計基準で、韓国輸出の37%を占める。三星電子とSKハイニックス2社の時価総額は、KOSPI(総合株価指数)全体時価総額の55%を超える。半導体ストが全国民の生活に直接・間接の影響を与えると言っても過言ではない背景だ。

むろん、憲法上の労働者基本権の一つを法律で制限する問題だけに、必須公益事業指定を軽々しく見ることはできない。現行労組法は、必須公益事業を「業務の停止または廃止が公衆の日常生活を著しく危険にさらすか、国民経済を著しく阻害し、その業務の代替が容易でない事業」と定義している。すでに指定されている鉄道、航空、水道、電気、ガス、病院、通信などと同様、半導体もその要件を満たしているのか検討する必要がある。「なぜ半導体だけなのか」という公平性論議を抑える論理も求められる。

ここで時計を20年前へ戻してみよう。政府が航空を必須公益事業に指定した時も、「飛行機が飛ばないからといって飢え死にするのか」という反発が強かったのは事実だ。にもかかわらず政府が法改正を押し切ったのは、航空麻痺が招いた国家的被害を直接目撃したからだった。航空ストは経済生態系の特殊機能を麻痺させるが、半導体ストは国の経済全体を大きく後退させかねない。そして成長潜在力が底まで落ち込んだ韓国経済にとって、その後退は致命傷になり得る。半導体は「経済安全保障」の一環として扱うべき産業だ。だからこそ、公益観点からのスト安全装置についても一度は真剣に検討する価値がある。