
香港の裁判所は15日、香港国家安全維持法(国安法)違反の罪で起訴された香港紙「リンゴ日報」(廃刊)の創業者、黎智英(ジミー・ライ)氏(78、写真)に対し有罪判決を言い渡した。来年1月12日に予定された量刑言い渡しで、最大で終身刑が科される可能性が出てきた。黎氏は、服飾ブランド「ジョルダーノ」を通じて巨万の富を築き、反中国色の強い日刊紙「リンゴ日報」を創刊した。これを通じて香港の民主化運動を支援し、中国当局の不興を買った。
AP通信などによると、裁判所は、国安法違反2件と、扇動的出版物の発行を共謀した罪1件について、いずれも有罪と判断した。主審のエスター・トー判事は、855ページに及ぶ判決文で、「複数の証拠を踏まえると、黎氏の唯一の目的は中国共産党の崩壊だった」と指摘した。
香港当局は2019年、犯罪容疑者を中国本土へ移送できる「逃亡犯条例」の導入を図ったが、大規模な反中デモに直面した。条例は最終的に撤回されたものの、2020年6月には、反中国活動に最大で終身刑を科すことが可能な国安法を施行し、民主化運動を大々的に弾圧した。黎氏は同年8月、同法施行から2カ月後に逮捕され、外国勢力と結託して扇動資料を出版した罪や、違法集会を主導した罪などで有罪判決を受けた。国安法違反については昨年11月に初公判が開かれ、今回の有罪判断に至った。
1995年創刊の「リンゴ日報」は、2014年の行政長官選出を巡る普通選挙を求めた雨傘運動や、逃亡犯条例を巡る反中デモなど、主要局面で民主勢力を支持する論調を打ち出してきた。中国当局は国安法施行後、同紙に対する圧力を強め、21年6月に廃刊へと追い込んだ。
黎氏の処遇は、米中対立の重要議題の一つとなってきた。トランプ米大統領は今年10月、釜山(プサン)で行われた米中首脳会談で、習近平国家主席に対し、黎氏の釈放を求めたとされる。黎氏の子どもたちは4日、AFP通信とのインタビューで、「高齢で糖尿病を患う父が、猛暑の中、エアコンもない独房で苦しんでいる」とし、「当局の放置で歯が腐り、爪が剥がれ落ちている」と訴えた。
林賢錫 lhs@donga.com






