
昨年12月3日の「非常戒厳」宣布直後、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の妻の金建希(キム・ゴンヒ)氏が尹氏に「あなたのせいで全て台無しになった」と怒りをぶつけ、激しく口論したことが分かった。
内乱事件を担当する趙垠奭(チョ・ウンソク)特別検察官(特検)は15日、最終捜査結果の記者会見で、金氏の側近からこのような趣旨の供述を確保したと明らかにした。特検は、金氏が事前に非常戒厳を共謀したかを確認するため、周辺人物から幅広く事情を聴取する過程で、「戒厳を宣布した際、尹前大統領と金氏が激しく口論し、『考えていたことがたくさんあったのに、非常戒厳を宣布して全てが台無しになった』と金氏が言った」との供述を得たという。
特検はまた、戒厳当日の行動を確認するため、金氏が訪れた整形外科の関係者からも聴取したが、非常戒厳と関連する証拠は見つからなかったと説明した。金氏が昨年12月3日午後6時から約3時間、ソウル市江南区(カンナムク)の整形外科にいたことは確認された。その後、金氏が病院を出てから約1時間後に非常戒厳が宣布された。当時、金氏は官邸にいたとされる。戒厳宣布を受けて初めて状況を認識したとみられる点から、特検は、金氏が事前に戒厳宣布を知っていた可能性は低いと結論づけた。
尹氏と事前に非常戒厳を計画したとされるノ・サンウォン元国軍情報司令官と会ったり、通話やメッセージをやり取りした記録も確認されなかったと説明した。朴志英(パク・ジヨン)特検補は「ノ氏と金氏が会ったという証拠はない」と述べた。さらに、2023年8~11月に官邸で行われた会合などで軍関係者が戒厳を謀議していた際にも、金氏が軍関係者の集まりに出席した事実は確認されなかったと付け加えた。
朴特検補は、「(朴性載前法務部長官らに送られた)テレグラムのメッセージなどから、金氏の国政介入が相当程度あったのではないかと疑われ、特検チームも疑惑を念頭に捜査したが、非常戒厳に関連する事実は明らかにならなかった」とし、「非常戒厳宣布への関与を裏付ける証拠や供述はなかった」と説明した。
一方で特検は、金氏を巡る司法リスクが、非常戒厳宣布の一因となった可能性は認めた。尹氏が政権発足当初から、ドイツモーターズ株価操作事件など金氏の司法リスクに負担を感じており、こうした状況も戒厳宣布に影響した可能性があるという。朴特検補は「ミョン・テギュン・リスクや高級バッグの捜査が直接の要因ではなかったとしても、戒厳宣布の時期を判断する際、ある程度考慮されたのではないか」と述べた。
ク・ミンギ記者 koo@donga.com






