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尹前大統領と「国民の力」の無責任な「二次加害」

尹前大統領と「国民の力」の無責任な「二次加害」

Posted December. 01, 2025 08:59,   

Updated December. 01, 2025 08:59


尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の公判が大詰めを迎える中、連日、異例の光景が続いている。内乱首謀の容疑で起訴された尹氏が、証人を自ら尋問し、12月3日の「非常戒厳」に関する質問を浴びせているのだ。被告人にも証人尋問の権利はあるが、頻繁に行われるのはまれだ。自身に不利な証言が出る可能性があるため、通常は最小限にとどめる。

尹氏は、証人の答えが気に入らなかったり、検察側の質問が不適切だと判断すると、「裁判長、一言よろしいでしょうか」と何度もマイクを握る。特別捜査で名を上げ、検事総長から大統領にまで上り詰めた、いわば「最強の前官」が、証人に直接迫り、公判を有利に進めようとする戦略とみられる。

法廷映像で公開された尋問の様子は、まるで特捜部の検事がソウル中央地検の取調室で被疑者から調書を取る場面のようだ。カメラを意識するそぶりもなく、特有の高圧的な態度と口調、身ぶりが、証人を追い詰める。中でも、洪壮源(ホン・ジャンウォン)前国家情報院第1次長に対し、呂寅兄(ヨ・インヒョン)前防諜司令官に触れ「司令官という『やつ』が捜査の『そ』の字も知らないとは思わなかったのか」と問い詰めた場面は圧巻だった。忠誠を尽くし、現在収監中の三星将軍を「やつ」呼ばわりし、政治家逮捕命令の責任を押しつけるかのような質問を受け、洪氏は「被告人、部下に責任転嫁するのではないですよね」と切り返した。郭種根(クァク・ジョングン)前特戦司令官も、尹氏の圧迫が続くと、苦渋の表情で「これまで口にすることをはばかってきた」とし、「韓東勲(ハン・ドンフン)や一部政治家の名前を挙げながら、あなたの前に連れて来いと言った。銃で撃ってでも殺すとまで言った」と反論した。

郭氏は尹氏の指示に従った結果、裁判を受けており、洪氏は政治家逮捕疑惑を暴露して更迭された。戒厳に深く関与した疑いを受ける呂氏も有罪となれば重刑は避けられない。ある法曹関係者は「前大統領が、自分のために犠牲となった部下に対して二次加害を加えている」と嘆いた。

「二次加害」批判は「国民の力」も例外ではない。同党の張東赫(チャン・ドンヒョク)代表は、非常戒厳から1年を目前にした状況でも謝罪メッセージの内容と強度の調整に苦慮している。11月28日の大邱(テグ)集会で張氏は、「責任を重く痛感する」としながらも、「戒厳によって民主党の無道さが明らかになり、大韓民国の現実を知ることができた」と付け加えた。翌29日の大田集会でも「一つにならねば戦えない」と闘争を強調した。一方、「謝罪すべきだ」との提案は激しい反発に直面している。大田集会で梁香子(ヤン・ヒャンジャ)最高委員が「反省すべきだ」と叫ぶと、党員らは怒号を上げ、コーヒーを投げつけた。「戒厳謝罪絶対反対」「戒厳は正当だった」と書かれた横断幕やプラカードもみられた。

証人に対する尹氏の二次加害は、直ちに止めなければ。必要なら裁判所が尋問態度を正すか、制止すべきだ。「国民の力」も、曖昧な態度こそが戒厳被害者である国民への二次加害であることを自覚すべきだ。謝罪メッセージの文言や強度を「検討している」ということ自体、野党第1党の現状を赤裸々に示している。いかなる理由や但し書きもつけず、真摯に謝罪しても足りないという点を、「国民の力」は深く肝に銘じるべきだ。