(20) [社説] 関係改善の道を確認した韓中、より重要になった米中間の座標設定
慶州(キョンジュ)で開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議を機に、李在明(イ・ジェミョン)大統領の主要国外交日程は、韓米、韓日会談に続き、1日に韓中首脳会談で締めくくられた。李大統領と習近平中国国家主席は会談で「戦略的意思疎通を強化しよう」と強調した。戦略的意思疎通とは、両国の現状課題が対立に拡大しないよう事前に調整することを意味する。両首脳はこれを通じ、両国関係を互恵的かつ安定的に発展させようという点で一致した。韓米同盟を基盤としつつ、中国と対立しない実用外交が最初の関門をクリアした形だ。
2016年のTHAAD(高高度迎撃ミサイルシステム)問題以降、韓中関係は低迷が続いた。両首脳は今回の会談で、高位級の意思疎通チャネルを定例化することに合意し、70兆ウォン規模の韓中通貨スワップの延長など実質的経済協力の進展に重点を置いた。韓流禁止令や中国の西海(ソへ)構造物に関しても、実務協議で問題を解決する方向で一致したという。これらの課題は、韓国の反中感情を刺激し、協力の障害となってきた。今回の会談で両国関係修復の土台を築いた以上、できるだけ早く実質的な解決策を見いだす必要がある
韓国の原子力潜水艦の推進が首脳会談のテーブルに上がったことは、今後の韓中関係に負担をもたらす可能性がある。習氏が核潜水艦に懸念を示すと、李氏は防衛的性格であることを説明したという。核潜水艦は、米国の対中軍事圧力への参加ではなく、対北抑止のために不可欠であると説得しなければ、THAADのように不要な対立に発展する恐れがある。
李氏は習氏に、韓国政府の北朝鮮非核化構想を紹介し、対北対話再開に向け中国の建設的な役割を求めたが、中国政府が発表した会談結果には触れられていなかった。米国に対抗するため北朝鮮と接近しようとする中国としては、会談直前に「非核化は夢物語」と強硬発言した北朝鮮を意識せざるを得なかったであろう。米朝対話が始まっても、北朝鮮を説得すべき中国が今のように消極的であれば、李氏の非核化目標も困難を避けられない。
これは、李氏の実用外交が今後も多くのハードルを乗り越えなければならないことを示している。中国は韓国にとって最大の貿易相手国であると同時に、産業構造の面では一部で競争し、一部では協力する関係だ。10年近く続いた冷え切った関係を、これ以上放置できない。また、同盟国として米国の対中牽制に協力せざるを得ないのも現実である。このような時ほど、柔軟でありつつ揺るがない外交の座標を明確に設定する必要がある。そうすれば、米国の前では米国側、中国の前では中国側に立つといった場当たり的対応から脱し、両国をともに説得する力と名分を持つことができる。
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