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英語幼稚園禁止法にキラー問題防止法、奇妙な教育法案の国

英語幼稚園禁止法にキラー問題防止法、奇妙な教育法案の国

Posted October. 11, 2025 08:49,   

Updated October. 11, 2025 08:49


2026学年度の大学修学能力試験(修能)の9月模擬評価を前にした8月末、国会では「修能・キラー問題防止法」の成立を求める記者会見が開かれた。キラー問題とは、高校の学習指導要領を逸脱した超高難度の修能問題を指す。高校の学習指導要領から外れた出題が「火修能」「水修能」を分けるため、毎年修能が終わると「ハーバード大学教授が解いてみた修能英語」「修能化学キラーに挑む化学科教授」といった動画が登場し、韓国の入試制度を風刺する。ついに公教育正常化促進および先行教育規制に関する特別法(公教育正常化法)の条項を改正し、修能を先行教育の規制対象に含める「キラー問題防止法」まで登場した。

過度な先行学習を防ぐ、いわゆる「小学生医大コース防止法」も発議された。学習塾が正規教育課程に先んじる内容を教えたり、塾生の選抜過程で学校段階ごとの教育課程を逸脱した内容を出題したりしてはならないという規定が、現行の公教育正常化法に追加された。生後36カ月未満の乳幼児を対象に教科指導や国際化(英語)教育を禁じる「学習塾設立・運営および課外授業に関する法律改正案」も国会に係留中だ。いわゆる「英語幼稚園禁止法」だ。

先月末に国会で開かれた「乳幼児の私教育の問題点と規制方策討論会」で、各家庭の私教育費支出に上限を設ける「私教育総量制」を導入すべきだとの意見も出された。近く「私教育費支出総量制法」が登場する可能性もある。

こうした法案の背景には、約30兆ウォンに達する莫大な私教育費がある。教育部と統計庁の調査によると、昨年の小・中・高校の私教育費総額は29兆2千億ウォン。過去最高を記録したうえ、私教育の対象年齢層が乳幼児や浪人生にまで広がっているため、来年発表される今年の支出額も最高記録を更新する可能性が高い。少子化で学齢人口は減少しているのに、韓国全体の国家研究開発(R&D)予算(2024年、26兆5千億ウォン)を上回る費用が私教育に費やされるという奇異な現象が起きている。

法案が成立すれば、私教育を減らすことができるだろうか。「英語幼稚園禁止法」が発議され、政府がいわゆる「4歳受験」と呼ばれる英語幼稚園入園前のレベルテストを禁止すると、ソウル江南(カンナム)地域の有名英語幼稚園は最近、変更したガイドラインを保護者に通知した。同系列の語学塾の英語準備クラス出身者のみが入園できるようにしたのだ。保護者たちは法案の趣旨には共感しつつも、法による規制が結局は私教育市場への参入年齢をさらに引き下げる方向に作用することを懸念している。

法改正で私教育需要を一時的に抑えることはできるかもしれない。しかし、公教育への信頼が確立しない限り、「英語幼稚園進学のための別の英語塾登録」といった悪循環は繰り返されるだろう。国家研究開発(R&D)予算規模に匹敵する金額が私教育に集中するのは、私教育を信頼しているからではなく、生徒も保護者も公教育を信じられないからにほかならない。

昨年11月、韓国教育開発院は私教育過熱現象を分析した報告書で「入試政策の持続性不足による不信感は、私教育に依存して情報を得ようとする傾向で現れている」と指摘した。一貫性なく揺れ動き、生徒や保護者の不安感ばかりを募らせる入試政策が続くかぎり、どんなに新しい名称の法案が登場しても、私教育の過熱を抑えることは難しいだろう。