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信念と生存の狭間…消えない「革命」の火種

信念と生存の狭間…消えない「革命」の火種

Posted September. 26, 2025 09:27,   

Updated September. 26, 2025 09:27


生き残るためには信念を捨てねばならない時代。しかし、最後まで手放せなかった者たち。

10日、ソウル鍾路区(チョンロク)NOLソギョン・スクエアスコーン1館で幕を開けた初演オリジナルミュージカル「デカブリ」は、1825年にロシアの若き将校たちが農奴解放や立憲君主制導入を掲げて起こした「デカブリストの乱」の直後を背景にしている。作品は監視が日常化した当時のロシアの暗く冷たい空気を鮮明に描き出す。

物語はミハイル、アカキ、アレクセイという3人の青年の3角関係を中心に展開する。皇帝の秘密警察であるミハイルは、かつて文学が世界を変えると信じていた元作家だ。「デカブリストの乱」を準備していた頃は、農奴を啓蒙するために小説『杭』を書いたが、反乱が失敗し仲間の死を目の当たりにした後、信念を曲げて10年以上にわたりロシア王政に仕えた。そんなある日、部下のアカキの机から消えたはずの『杭』を再び見つける。

農奴出身のアカキは不器用ながらも信念は揺るがない。彼は『杭』を広めて抑圧された人々を目覚めさせなければならないと信じて行動する。ミハイルは小説を禁書として流通を阻もうとするが、アカキは「この文章は単なる思想文ではなく、人を生かす文学だ」と対抗する。ミハイルはアカキの無謀さに、自らの中で消えていなかった火種を見出す。

アレクセイはミハイルの冷徹な捜査に憧れる同僚だ。個人的理由から農奴を嫌悪する彼は、『杭』と再会して揺れ動くミハイルの様子を察知し、その後を追いながら物語は亀裂の頂点へと向かう。

「デカブリ」の力は、3人の主人公の立体的な描写にある。生き残るために信念を曲げながらも再び目覚めるミハイル、革命家としての顔を隠し日常を生きるアカキ、そして友情が唯一の弱点となるアレクセイ。それぞれの選択が絡み合い、緊張感を生み出す。

むろん、19世紀ロシアという舞台設定は少々馴染みが薄いかもしれない。しかし「監視と支配の中でも光を放つ文学」という普遍的なテーマは強い響きを持つ。武力で立ち向かった者、教育と文章で変化を試みた者、生き残るために順応や沈黙を選んだ者が共存した日本の植民地時代を連想させる場面もある。

舞台は抑制の美しさが際立つ。過度な装置を避け、照明と静止した呼吸で「監視の視線」を表現した。登場人物たちが信念の対立を歌い上げるナンバーは、叙情性と緊迫感を行き来する。キーボード、ギター、ベース、ドラムによる4人編成のライブバンドも豊かさを添える。ただしメロディーが一度聞いただけでは耳に残りにくく、やや難度は高めだ。11月30日まで上演される。


サ・ジウォン記者 4g1@donga.com