Go to contents

韓米FTAも、カナダ・米・メキシコ協定も廃棄…新しい市場を探してこそ生き残れる

韓米FTAも、カナダ・米・メキシコ協定も廃棄…新しい市場を探してこそ生き残れる

Posted August. 02, 2025 08:49,   

Updated August. 02, 2025 08:49


韓米関税交渉が紆余曲折の末に妥結したが、これにより、韓国と米国が交わした自由貿易協定(FTA)は完全に白紙化された。米国と北米地域のFTAである「CUSMA」を交わしているカナダやメキシコは、まだ交渉を終えていないが、無関税恩恵は終了することが確実とみられる。韓国を世界5位の輸出国に育てたFTA中心のグローバル自由貿易の秩序が、ドナルド・トランプ大統領が世界を相手に繰り広げる関税戦争により急速に崩壊している。

今回、韓米交渉が妥結し、韓米FTAにより無関税で米国に輸出されていた韓国産製品には、今後15%の相互関税が課せられる。韓国産自動車・部品にも、従来2.5%の関税を課していた日本・欧州連合(EU)と同じ15%の関税がかかり、「FTAプレミアム」がなくなる。50%の高関税を払い続けなければならない鉄鋼メーカーは、米国という最大の輸出市場を失う危機に直面している。半導体や医薬品にもまもなく関税が課されるものとみられる。米国で人気が急上昇中のKビューティー製品とプルダックポックンミョンなどのK食品も関税がつくだけに、価格競争力が弱まる。2012年に発効し、13年間対米輸出を牽引してきた韓米FTAが無用の長物になったのだ。

米国は、「関税を払いたくなければ米国に工場を建てろ」と言う。しかし、現在工場を運営している現代(ヒョンデ)自動車・起亜(キア)自動車も、米国向け輸出用車両をすべて米国の地で作るには力不足だ。日本メーカーに比べて現地生産の割合が少なく、関税の不利益は避けられない。現代製鉄がルイジアナに製鉄所設立を準備しているが、USスチールを買収した日本製鉄に一歩遅れている。カナダやメキシコ工場で家電製品を作って米国に輸出していた三星(サムスン)電子やLG電子も、CUSMAの廃棄にともなう関税負担を避けられない。

それだけ米国に代わる輸出市場を探すことが急がれている。EU・東南アジア・南米・中東市場へと、市場を多角化しなければならない。「CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)」への加盟も急がなければならない。現存する最大の「メガFTA」であるにもかかわらず、日本主導という理由で韓国は加入を敬遠してきた。

産業通商資源部の呂翰九(ヨ・ハング)通商交渉本部長は、「今回は、にわか雨を避けた。根本的な備えが必要だ」と述べた。関税と保護貿易で武装し、貿易で損をしないという米国の通商基調が、政権が変わっても続くという診断だ。企業と政府は、10年、20年後を見通して輸出・産業戦略を最初から新しく組まなければ、「輸出韓国」の神話を継続することは難しい。