
酒を飲むと顔が火照り、今にも破裂しそうなほど真っ赤になる人がいる。この症状は東洋人に多く見られる。医学的には「アジアン・フラッシュ症候群(Asian Flush Syndrome)」と呼ばれるほどだ。韓国人の30%、中国人の35%、日本人の45%がこの症状を持つとされ、北東アジア3ヵ国に集中した遺伝的特性だという。
ただし、顔がすぐ赤くなるのに酒を問題なく飲めるタイプは、より注意が必要かもしれない。アルコールのエタノールをアセトアルデヒドに変えるADH酵素は正常に働き「酔い」の感覚には耐性があるが、生成されたアセトアルデヒドを酢酸に分解する機能が弱いため、毒性物質が体内に蓄積され続けるからだ。著者は「酒は飲めば慣れると言うが、毒性分子の蓄積は避けられない。アジアン・フラッシュ症候群があるなら、アルコール摂取はできるだけ慎重にしたほうがいい」とアドバイスする。
健康診断で医師に言われる忠告のようにも聞こえるが、この知識を教える著者は光云(クァンウン)大学化学科の教授で学生を教える化学者だ。著者は化学物質である酒を化学の視点から細かく分析し、私たちが知っている酒に関する常識や俗説、そして飲酒時に体内で起こる現象をわかりやすく語る。
著者はユーチューブや放送で化学をやさしく解説する「科学コミュニケーター・ユーチューバー」でもある。この本では自らの知識を特に楽しそうに説明している印象を受ける。案の定、大の愛酒家で「酒を飲む瞬間だけは科学者ではなく語り部でいたい」と語る。
本は酒の発明の歴史から始まる。現在トルコ南東部にある世界文化遺産「ギョベクリ・テペ」遺跡では、約1万7000年前のビール醸造過程で形成されたとみられるシュウ酸カルシウムが見つかった。著者は「余った資源を利用して酒を造ったのではなく、酒を造るために農耕が広まったという解釈は考えさせられる」とし、人類の歴史において酒はすでに「心の重みを軽くする主要な道具」だったと説明する。
また、過去には神殿や宮廷の祭祀など儀礼に用いられたが、人類が酒を醸し飲む文化を続けてきた根本的な理由は、酒を飲んだときに起こる化学的・生理学的効果にあると著者は語る。
酒の種類ごとに人気のつまみの組み合わせにも理由がある。焼酎のようにアルコール度数が高い酒には、食道や胃への刺激を和らげるスープが合う。スープに含まれるナトリウムが酒の味をよりまろやかに感じさせる効果もある。飲酒でアルコールを分解するには糖が消費されるため、体は不足した糖を欲する。飲んでいる間に炭水化物のつまみを次々と欲するのもこのためだ。帰り道に水やアイスクリームを口にしたくなるのも同じ理由である。
酒好きでもそうでなくても、化学教授が「注いでくれる」酒の話に酔いしれる一冊だ。
キム・ギユン記者 pep@donga.com






