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働く高齢者700万人の時代、皆同じ高齢者ではない

働く高齢者700万人の時代、皆同じ高齢者ではない

Posted June. 19, 2025 09:30,   

Updated June. 19, 2025 09:30


2年前に定年退職したA氏は、今年初めから個人タクシーを運転している。個人タクシーをしようと決心し、ハンドルを握るまでには1年半がかかった。他の個人タクシー運転手の営業免許を譲り受けるためには、必ず受けなければならない教育があるが、「ロトほど難しい」という言葉どおり申請者が集まって、教育の受付から毎回失敗した。今すぐお金を稼がなければならない状況ではなく、これまで先送りしてきたことを一つずつしながら待った。彼は、「仕事をしないことが日常になれば、一日がとても長い」として、やりたい時に出て仕事をするのに、稼ぎも悪くないのでこの仕事が良い」と話した。

A氏のように法定定年の60歳を過ぎても働く人たちが、初めて700万人を超えた。先月、60歳以上の就業者は、過去最大の704万9000人だった。4年前より150万人近く増え、20代就業者数の2倍に達した。60歳以上の人口で就業者の割合を意味する雇用率も48.3%だった。60歳を超える人々の半分近くが、仕事をしているという意味だ。

彼らが働きに出る理由は、その数だけまちまちだろう。ただ、統計からみた仕事をする理由からは、以前とは少し違う様子も見られる。統計庁は1年に一度ずつ、55~79才を対象に今後仕事をしたいのか、その理由は何かを尋ねる。この調査で、働きたい理由として「生活費への足し」を挙げた人々の割合は、2021年から毎年減っている。一方、「仕事をする楽しさ」という回答の割合は増え続けている。「健康維持」と「退屈なので」を選んだ人も多くなっている。

働く楽しみや健康のために働くという高齢者は、増え続けるしかない。1000万人に迫る「第2次ベビーブーマー」(1964~1974年生まれ)が本格的に60代に差し掛かっているが、彼らは以前の世代とはまた違うからだ。大韓商工会議所は、昨年出した報告書で、「最近の高齢人材は以前の世代とは異なり、高熟練・高学歴者の割合が高い」とし、「高齢人材のうち、大卒以上の割合がこの10年間で約10%高くなった」と分析した。

現場では、高齢者の列に加わったばかりの高学歴人材に対するオーダーメード型就職支援に乗り出すという声も聞こえ始めた。しかし、現実になるにはまだまだ遠い。オーダーメード型支援をするという働き口支援センターの公告を調べれば、目に入るのは学歴とはあまり関係がないように見えるプログラムばかりだ。スーパーでワインや健康機能食品を販売し、徒歩で配達するのに必要な教育を受けるために、大学の卒業証書と職場の経歴は必ずしも必要ではなさそうだ。

高齢者雇用事業は、これまで生計補助や社会的配慮という認識が強かったのが現状だ。今後も、事業の中心は、生活費に足すために不安定で劣悪な労働環境に追い込まれる高齢者たちに対する支援でならなければならない。ただ、生計ではない他の理由で職場の扉を叩く高齢者に対する支援も考えなければならない時になっている。3年前も一人の政府高官は、「韓国の高齢者は思ったより貧しくないだろう」と話した。不動産などの資産まで考慮すれば、違う可能性があるという。遅く生まれた高齢者ほど貧困問題も少ない。今は「高齢者」というたった一つの単語でまとめるには、高齢者の姿があまりにも多様になっている。