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イスラエルとイランの全面戦争の危機、米国が「警察」を辞めた世界のニューノーマル

イスラエルとイランの全面戦争の危機、米国が「警察」を辞めた世界のニューノーマル

Posted June. 16, 2025 10:06,   

Updated June. 16, 2025 10:06


イスラエルがイラン領土を先制的に攻撃し、イランが反撃に出たことで、1000キロ以上離れている両国が全面戦争を目前にしている。イスラエルは13日、自国から発進した戦闘機約200機とイラン領土に隠しておいたドローンを利用して、イランの核施設や核科学者、軍司令部などを攻撃した。計150ヵ所余りを打撃し、正規軍参謀総長など軍指揮部が命を落とした。開戦から3日目の15日は、ガス田などのエネルギー施設を集中的に攻撃した。イランも、ミサイル約200基とドローン数十台を動員して、イスラエル空軍基地とテルアビブ、エルサレムなどの主要都市を攻撃した。イスラエルは防空網アイアンドームで対応したが、一部の弾道ミサイルが迎撃を避けて都心を破壊する様子が報じられた。

イスラエルのイランへの奇襲攻撃は、米国とイランの6回目の核交渉を控えて始まった。米国とイランは、核開発の中止と経済制裁の解除を交換しようと交渉してきた。しかし、イランは2015年、米国との合意を破って兵器級のウラン濃縮をしてきたという疑惑がもたれている。イスラエルが核施設などを狙ったのは、イランが6ヵ月以内に核兵器を製造できるという危機感から始まったと外信は評価した。

イスラエルとイランはすでに戦争状態だった。イスラエルは2023年、パレスチナ武装組織「ハマス」から奇襲攻撃を受け、自国民1200人が死亡したが、ハマスの背後としてイランを名指した。イランが面倒を見てくれたもう一つの武装組織であるレバノン内のヒズボラの最高司令官を、2024年に暗殺したのも対イラン戦争の一部だった。

イスラエルとイランの戦争が全面戦争に拡大すれば、世界はロシア・ウクライナ戦争(2022年)、イスラエル・ハマス戦争(2023年)に続き、3度目の戦争になる。3つの戦争は、いずれも米国が「世界の警察」の役割から一歩引いた中で始まった。米国は15日、「イスラエルの空襲と韓国とは無縁だ」と一線を画したが、トランプ大統領の米国優先主義外交戦略によるものだ。米国は、「テロとの戦い」の失敗とグローバル金融危機を体験後、2010年に「米国が一人ですべてのことを解決することはできない」と公に宣言したが、今はトランプの不介入路線で、もしかしたら多重戦争が見慣れないニューノーマルになりうるかもしれない。

イスラエルとイランの戦争が地球の反対側の紛争だからといって、「対岸の火事」ではない。国際原油価格が乱高下し、原材料価格の引き上げとともに物価上昇の圧迫として働くことになるだろう。米国がやむを得ず部分的な軍事支援を決定するなら、兵器提供など同盟の役割を要求される可能性もある。米国が「世界の警察」としての役割を辞めている今、さらに不安になった国際情勢は私たちにより大きなリスクとして働くほかはない。