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「負債恐怖」に国債市場が「心臓発作」、金の切れ目が縁の切れ目

「負債恐怖」に国債市場が「心臓発作」、金の切れ目が縁の切れ目

Posted May. 27, 2025 08:56,   

Updated May. 27, 2025 08:56


2011年8月、スタンダード&プアーズ(S&P)が米国債の格下げに踏み切った時、現場をルポ取材するために訪れたソウル汝矣島(ヨイド)の大宇(テウ)証券(今は未来アセット証券)のトレーディングセンターは重く静まり返り、ため息だけが漏れていた。すべての銘柄が下降カーブを描いて青くなっている中、トレーダーたちの表情は一様に固まっていた。「足音さえ立てないでほしい」という要請に声をかけることすらできなかった。

14年前の記憶が鮮明だったため、今月16日(現地時間)、ムーディーズが米国債の格付けを「Aaa」から「Aa1」に1ランク下げた後、気をもんでいた。数日間は物静かだった。すでに2度の格下げを経験している上、予告されたイベントであることから、影響もなく無難に過ぎていくかのように見えた。スコット・ベッセント米財務長官は18日、格下げに関連し、「誰が気にするだろうか。カタールは気にしない。サウジアラビアやアラブ首長国連邦も同じだ」とし、「彼らは(米国に)お金をつぎ込んでいる」と自信満々に吼えた。

だが、ただ数日の時差があっただけで、国債市場はムーディーズが予想した「負債恐怖」を見過ごさなかった。格下げ後、米国債の入札不振とトランプ大統領が推進する大規模な減税案に対する不安が重なると、結局、国債市場は「心臓発作」を起こした。21日、米財務省が入札した20年満期国債の金利は5%を超え、10年物国債の金利も4.6%台に高騰(国債価格は急落)した。天文学的な負債に、米国経済に対する信頼が揺れた債権投資家らが、大量に米国債を投げ売りした結果だった。日本や英国、ドイツなどでも財政赤字が投資家の不安心理を刺激し、国債金利が同時多発的に高騰した。

流動性が溢れる債券市場で、それも最高の安全資産と見なされた米国債と日本国債が同時にふらついたことについて、一部からは債券自警団(bond vigilantes=財政赤字に反発して国債売りなどで政府を圧迫する投資家)が、各国の財政健全性に関連した「イエローカード」を取り出したという分析が出ている。大口投資家たちも、高騰する財政赤字と国家負債に苦言を投げかけている。「ヘッジファンドのゴッドファーザー」と呼ばれる投資家のレイ・ダリオ氏は22日、「私たちは、国債市場に対して恐れを持たなければならない」と強調した。さらに、「まるで医師が患者を診断するように、この状況を眺める時、累積された負債が非常に深刻な水準に達したと判断される」と付け加えた。

問題は、韓国政府も負債の恐怖から決して自由ではないということだ。昨年、国の財政を示す管理財政収支は104兆8000億ウォンの赤字を記録した。国際通貨基金(IMF)によると、韓国の国内総生産(GDP)比国家債務の割合は、11の非基軸通貨国のうち4位となっている。

さらに、国債ショックは、債券市場を越えて経済全般に悪影響を及ぼす。住宅ローンや学資金融資なども、そのほとんどが国債金利と連動しており、国債金利が上がれば社債金利も上がるしかない。結局、利息の高騰で家計と企業の利息費用が跳ね上がり、消費と投資まで萎縮する。

「借金」の重さは決して軽くない。世界最大の経済大国であり基軸通貨国である米国さえも、雪だるま式の財政赤字のため、市場の信頼を失いかねないことを、今回の国債ショックが如実に示している。韓国経済の「借金」の重さはどうなのか、引き続き振り返らなければならない理由だ。