最大野党「共に民主党」の大統領候補に選出された李在明(イ・ジェミョン)前代表の公職選挙法違反容疑について、大法院(最高裁)が無罪判決を破棄し、ソウル高裁で審理をやり直すよう命じたことに反発した同党が、曺喜大(チョ・ヒデ)大法院長に対する弾劾論を持ち出した。同党の1期議員70人が、「曺氏主導の司法クーデターに対し、直ちに弾劾訴追手続きに突入する」と表明した翌日の4日、緊急議員総会が招集され、弾劾問題が議論されたのだ。ソウル高裁は差し戻し判決の翌日、裁判所を割り当てた。差し戻し審は15日に開かれる。このように裁判所が速度を上げるや、大統領選前に差し戻し審判決が出る可能性を念頭に置き、司法府と全面対決に出たものとみられる。与党「国民の力」は、「集団狂気レベルの司法府圧力」と批判した。
立法機関である国会が、司法府の最高責任者である大法院長の弾劾を推進すれば、憲政史上初の前代未聞の事態となる。民主党は、大法院が政治的中立に反し、選挙に不当な影響力を行使しようとしているため、明白な弾劾事由に該当すると主張する。大法院の上告審判決が、2審判決から36日、大法院全員合議体に事件を回付してから9日後に異例の速さで出たのは事実だ。しかし、全員合議体を通じて出された判決を、果たして憲法と法律の重大な違反と言えるのか疑問だ。
にもかかわらず、民主党の司法府弾劾脅迫の言葉は激しさを増している。党内では、曺氏の弾劾だけでなく、破棄・差し戻しに同意した大法院の裁判官10人を次々に弾劾し、司法府を無力化するシナリオまで議論されているという。ソウル高裁に対し、裁判を通じて裁判官が弾劾されるような状況を作るべきではないとし、破棄差し戻し審の裁判所を弾劾できるという主張まで公然と出てきた。党執行部は、曺氏に対する国会聴聞会や国政調査、特検など実力行使も予告した。
このような民主党の動きは、事実上、司法不服従であり、立法権力の乱用と三権分立否定という批判を避けることはできない。にもかかわらず、憲法守護の最終責任者となる大統領になるという李氏は、「党が国民の意向に合わせて処理するだろう」と、距離を置くような態度を見せている。同党の大法院長弾劾攻勢に、李氏の意向が反映されていないと見ることはできない。ただでさえ、李氏が大統領選で勝利すれば、立法権力に行政、司法権力まで掌握しかねないという懸念が出ている。大法院の判決と裁判官に対する尊重、権力の節制が求められる時だ。李氏が自制を促す必要がある。
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