トランプ米大統領が29日で再選100日を迎えた。就任後、トランプ氏が見せた即興的で極端な行動は、全世界を衝撃と混沌に陥れた。世界を米国とその他の国に分けた「米国第一主義」は、第2次世界大戦後、米国を中心に構築された国際安全保障および貿易秩序を根底から揺るがし、米国に対する信頼は地に落ちた。米誌タイムは、「この100日は、米国史上最も不安定な時期の一つ」と指摘した。
100日間で経済全般はもとより、官僚制や文化、思想、対外政策まで揺るがなかったものはない。特に世界を混乱に陥れたのは、紛れもなく関税政策だった。賦課と撤回、猶予を頻繁に繰り返し、世界を経済的な不確実性と不況の泥沼に陥れた。相互関税を宣言したかと思えば、施行13時間後に90日間の猶予を宣言し、中国とは終わりのない関税チキンゲームを繰り広げた。
大雑把に計算した相互関税率を根拠に、韓国を含む世界中の国々を交渉テーブルの場に引き込み、不安を最大化した。
自由や人権など普遍的価値を共有する西側自由陣営の瓦解の危機も招いた。特に侵略戦争を行っているロシアの独裁者との取引のために、ウクライナの大統領を呼びつけて侮辱する場面は、国際社会のリーダーとしての米国に対する同盟国の幻滅を招いた。欧州諸国は米国からの安全保障の独立を模索し、アジアの国々も米軍駐留経費負担増大の圧力に苦しむ状況となった。米国国内では、官僚社会や大学、メディア、主要機関に対するトランプ勢力の全面的な攻撃が行われ、不安が日常化した。
米国が全世界に撒いた混乱は、ブーメランのように米国に返ってきている。トランプ氏を支持したラストベルトの自動車労働者が解雇不安に苦しみ、スーパーマーケットの陳列棚が空っぽになるなど、関税戦争は米国の庶民をさらに苦しめている。行き当たりばったりの権力に対する不満と不信はますます大きくなっている。米紙ワシントン・ポストの世論調査では、トランプ氏の国政支持率は39%にとどまり、就任100日基準で歴代大統領の中で最も低かった。
第2次トランプ政権の100日の混乱を見て、6月4日の新政府発足を控えた韓国は他山の石としなければならない。新政府は移行委員会を経ずにすぐに任期を開始するため、少しの試行錯誤も許されない。調整されていない未熟で極端な政策、長期的な国益よりも人気だけに迎合する政策を即興的に出して混乱を助長しないよう徹底して警戒しなければならない。
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