
国際政治学界の碩学である米ハーバード大学行政大学院のグレアム・アリソン教授(85歳・写真)は、米国と中国の関税紛争が戦争に発展する可能性は排除できないものの、両国が様々な分野で相互依存関係にあることを考慮すると、戦争は必然ではないと診断した。ただし、両国政府が「協力」ではなく「競争」を選ぶなら、史上最も激烈な「トゥキディデスの罠」に陥るだろうと警告した。
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、アリソン氏は6日(現地時間)、ハーバード大学で開催された中国フォーラムに出席し、両大国が経済、金融、気候などの主要分野で相互依存的であると重ねて強調した。
アリソン氏は、冷戦時代に核戦争の脅威に直面した米国とソ連も、「相互破壊」の恐怖から極限の対立を避けたとし、この教訓が現在の米国と中国にも適用できると診断した。にもかかわらず、両国が競争を選択する場合、双方とも大きな困難に陥るだろうと懸念した。
「トゥキディデスの罠」は、紀元前5世紀にペロポネソス戦争を繰り広げたギリシャの都市国家スパルタとアテネの対立に由来する。当時、ギリシャ最強だったスパルタは、急浮上したアテネに資源と人材を次々に奪われ、戦争を始めた。血みどろの戦いの末、両国は共に没落し、漁夫の利を得たマケドニアがギリシャ全体を占領した。
アリソン氏は、この過程を記録した有名な歴史家トゥキディデスの名前を取り、既存の覇権国と新興強国の対立が戦争に発展することを「トゥキディデスの罠」と呼んだ。アリソン氏は2017年の著書『米中戦争前夜』で、既存の覇権国である米国と新興強国である中国の対立をこれに例えた。
最近、両国の対立は日増しに激化している。トランプ米大統領は7日、中国に104%の関税を課す考えを明らかにした。ヴァンス副大統領も3日、FOXニュースで「私たちは、中国の小作農からカネを借り、中国の小作農の生産物を買っている」と露骨に非難した。
中国共産党系の英字紙グローバル・タイムズは8日、「衝撃的な発言」と批判した。中国外務省も同日、「米国の副大統領がこのように無知で無礼な発言をするとは、不可思議で悲しい」と皮肉った。
キム・ユンジン記者 kyj@donga.com