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押し寄せる中国発技術の海、私たちだけの灯台を立てなければ

押し寄せる中国発技術の海、私たちだけの灯台を立てなければ

Posted March. 25, 2025 08:59,   

Updated March. 25, 2025 08:59


2025年も3ヵ月が過ぎた。産業部記者の見方では少し早いが、今年の韓国産業界のキーワードが何なのか考えてみた。最近の韓国産業界のニュースメーカーは、人工知能(AI)でも、半導体でも、バッテリーでもない隣国の「中国」だろう。韓国新聞の経済面に中国の先端技術記事が登場することが、今年に入ってからずっと繰り返されている。

産業現場で勤務する企業の役職員が感じる中国発の脅威は、外部から見るよりさらに厳しい。「中国は、最初は人を投入する『人海戦術』を使ったが、その次はお金を注ぎ込む『錢海戦術』を使った。今は新しい技術を出す『技海(技術の海)戦術』で世界を驚かせている」。最近会った電子企業の役員の言葉だ。彼の言葉の中には、1990年代以降2025年の現在まで変化する中国企業の性格が圧縮されている。特に、時間が経てば経つほど、韓国企業としては相手にするのがさらに厳しくなっている。

今年初め、中国企業の歩みを見れば「海のように、多くの技術で敵を攻撃する」という「技海戦術」という単語が誇張だけではなさそうだ。最初のシグナルは、1月に公開された中国杭州産生成型AIのディープシークだ。米シリコンバレーで出したチャットGPTの開発費の5.6%だけを使って、それに匹敵する製品を作った。米国では、「AIで(敵国に劣る)『スプートニクの瞬間』が来た」という反応が出た。

米国がドナルド・トランプ1期目の政府以来8年間行ってきた「チップウォー(Chip War=米国の対中半導体規制)」が無力化されるシグナルも感知される。ファーウェイは今年に入って、米国のNVIDIAが製造しているAIチップ「H100」に匹敵する性能の「アセンド910C」を量産したと明らかにした。電気自動車メーカーの比亜迪(BYD)は、5分で電気自動車1台を完全に充電できる「スーパーeプラットフォーム」の技術を発表した。2件とも、まだ中国外で検証されたわけではないが、発表内容通りならグローバル技術の流れを変えるほど大きな意味を持つ。

このような状況で、韓国企業の取り得る対応は二つに一つだろう。中国がまだ追いついていない分野であらかじめ超格差を出すか、中国企業と対決して主要市場を守ることだ。前者の代表的なケースが、HD韓国造船海洋だ。同社はコンテナ商船に小型モジュール原発(SMR)を搭載し、原子力で動かせるという大胆な研究開発(R&D)に乗り出した。後発の中国造船所の追撃を根本的に振り切るためには、その程度の想像力が必要だっただろう。

後者は、LGグループのLG AI研究所が代表的だ。ここは韓国国内初の推論型AI「エクサウォン・ディープ」を公開し、米国の数学オリンピアードなどでディープシークに劣らぬ結果を出した。エクサウォン・ディープは今後、産業全般で活用する予定だ。このような成果物を一つずつ積み上げてこそ、中国発技術が本格的に韓国に押し寄せる時、韓国産業の未来を照らす灯台の役割を果たすことができるだろう。

ただ残念なことは、このような韓国企業の対応は、個別企業の「創意的決断」だけに依存しているということだ。中国発脅威が可視化された石油化学や鉄鋼などの業種では、連合で対応する必要がある。トヨタやソニーなど大手企業8社が集まって半導体復興に乗り出した日本のラピダスの事例を、韓国産業界が分析してみたらどうだろうか。