
その場所にあったすべてが「ジェニー」だった。
パワフルなラップと迫力あるパフォーマンスを見せる女戦士。ピンク色のペンライトを振るファンを見て涙ぐむ少女。そして他人の視線に惑わされず、自分を愛するという堂々たる女性まで。ジェニーの初ソロコンサートは、まさにジェニーらしかった。
3月15日、仁川中区(インチョン・チュンク)のインスパイア・アリーナで開催されたコンサート「The Ruby Experience」は、7日にリリースされたジェニーの初ソロフルアルバム「Ruby」のように輝いていた。K-POPアイドルのメンバーを超えて、ポップアイコンでありソロアーティストとして進むジェニーの多彩さが詰まったステージだった。
この公演でジェニーはアルバム「Ruby」に収録された15曲すべてを披露した。6、7日(現地時間)、米ロサンゼルスのピーコックシアター、ニューヨークのラジオシティ・ミュージックホールでの公演に続く舞台だった。少し短い公演時間などの物足りなさもあったものの、約9千人の観客を終始熱狂させた。
●「世界は舞台にすぎない」
「All the world’s a stage, And all the men and women merely players.(全世界は一つの舞台だ。そしてすべての人間は男も女も役者にすぎない)」
ソロアルバムにインスピレーションを与えたシェイクスピアの喜劇『お気に召すまま』の一節と共に登場したジェニーは、1曲ごとに様々な姿を見せた。赤いトップスの上に毛皮のジャケットを羽織り、鏡の前で「Start a War」を歌う時は、リズムに身を委ねる優雅な女性のようだった。一方で、自らの道を切り開く女性としての情熱を込めた「Mantra」では、力強いリーダーの姿を披露した。
多様な演出の流れは、観客の緊張感を途切れさせなかった。「自分の本質を愛そう」というメッセージを込めたダンス曲『ZEN』では、黒いパワーショルダージャケットを着た戦士のように見えたが、次の『Damn Right』ではグルーヴ感たっぷりのR&Bの魅力を漂わせた。
ハイライトは、「Like Jennie」、「with the IE」、「ExtraL」の3曲を連続で披露したステージ。ヒップホップベースのダンス曲のパレードは、今回のアルバムでジェニーが追求する方向性を余すことなく見せた。特別な舞台装置がなくても、ジェニーのパフォーマンスそのものが観客を引き込むのに十分だった。特に「何でも出来ちゃうのが罪?」といった「Like Jennie」の鋭い韓国語ラップが耳に鮮明に刻まれ、『with the IE』では圧倒的な声量が光った。
●70分の公演時間は物足りない
「本当に泣かないと約束したのに…。こんなにたくさんの方から無限の愛を受けると、それを受け止めるのが難しかった」。
11曲を歌った後に初めて口を開いたジェニーは、ファンへの感謝に涙ぐんだ。ただ、一瞬少女のような口調で落ち着きを取り戻し、「公演モードに戻る」とプロらしく残りの曲を披露した。最後の曲『twin』は特に余韻深く、シンプルなギター演奏に乗せて友人への思いを切々と表現した。最後にジェニーは「いつも良い音楽を作る良き人でありたいので、見守ってほしい」と語った。
ただし今回の公演は、アルバム発売に合わせた「ショーケース的」な公演だったとはいえ、約1時間10分にとどまった公演時間には物足りなさを感じるという声もあった。最低でも15万ウォンのチケット価格を考えるとなおさらだ。また、舞台を広く使わない演出はジェニーの力強いパフォーマンスを十分に見せられなかった。米国公演では露出の多い衣装が物議を醸したが、国内公演では比較的控えめな衣装でステージに立った。
仁川=サ・ジウォン記者 4g1@donga.com