トランプ米大統領が4日、上下両院合同会議で2期目初の施政方針演説を行い、「韓国の関税は、(米国より)4倍も高い」とし、「私たちは韓国を軍事的に、そして他の方法で大変多くを助けているのに、このようなことが起きている。米国にとって決して公平ではない」と主張した。韓国企業が対米投資の代価として補助金を受けることになっている半導体法については、「恐ろしい法だ」とし、廃止を指示した。トランプ氏は、「世界最大規模のアラスカ天然ガスのパイプライン建設に、日本と韓国、色々な国が各々数兆ドルを投資するだろう」とし、韓国の投資を既成事実化した。
トランプ氏の発言は、米国が対外関係で損をしている、だから正さなければならない主要国の一つとして韓国を挙げていることを示している。トランプ氏の目には、韓国は「マネーマシーン(現金引き出し機)」にすぎない。韓米間には自由貿易協定(FTA)の締結でほとんどの商品を無関税で交易が行われている状況下で、「4倍関税」を主張した。韓国が世界貿易機関(WTO)の加盟国に課す平均最恵国待遇の関税率が根拠だというが、FTAを結んだ米国には該当しない。その一方で、韓国政府が検討を始めたばかりの対米エネルギー投資は、すでに決定したかのように発表した。
何よりも懸念されるのは、トランプ氏が韓国に対する軍事的支援とともに取り上げたところだ。これまで同盟国が敵性国より悪いとして主に欧州の例を取り上げてきたが、今回は韓国を挙げた。ウクライナに対する軍事支援まで絶ったことで、白旗を翻し、欧州諸国を衝撃に陥れたトランプ氏だ。今はアジアに目を向け、新しい標的を探すのではないか疑問だ。韓国は弾劾政局でリーダーシップ不在の状況だというが、いつまでも猶予期間を与えそうにない。
今回の演説からは外されたが、防衛費分担金の再交渉の要求は、直ちに関税圧迫とともに韓国を締めつける同盟に対する攻勢カードだろう。国防次官(政策担当)に指名されたコルビー氏が、人事聴聞会で戦時作戦統制権の返還など韓国の役割強化を強調したことも、韓国の政治状況を挙げて韓米日の安全保障協力の持続可能性に懸念を示したことも尋常ではない。中国牽制に韓国をさらに深く引き込むことで在韓米軍の対北朝鮮防御の役割を減らそうとする作業は、近いうちに具体化するだろう。
トランプ氏の就任からわずか43日。自国利益のための「アメリカファースト」の歩みは憚ることがない。この80年間主導してきた自由主義秩序を崩し、隣国の領土主権まで無視する貪欲で乱暴な帝国の姿まで露にしている。FTA締結国だからといって、軍事同盟国だからといって例外を設けない。にもかかわらず、韓国には安全保障同盟であり、経済同盟としての米国の価値は減らない。魅力的なパートナーとして私たちの存在をアピールし、まもなく襲いかかる嵐に備えなければならない。
アクセスランキング