
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領弾劾審判の最終弁論期日が25日に決定され、早期の大統領選挙実施が現実味を帯びてきたことを受け、「中道層」の支持をめぐる与野党の争奪戦に火がついた。最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は週末の23日、「もともと民主党は中道政党」と主張し支持拡大を図った。与党「国民の力」の権性東(クォン・ソンドン)院内代表は、「李氏が中道保守を名乗る背景には、われわれを『極右』に追い込もうする政治的目的がある」と反発し牽制した。
李氏は同日、「時代の状況で進歩性がより重要な時は進歩的中道の役割が、保守性がより重要な時は中道保守の役割が大きかった」とし、「同じ立場でも状況が変われば右に、左になることができる」と述べた。「党のアイデンティティを損なう」という党内の「非明系(非李在明系)」の反発にもかかわらず、「成長優先」を強調する中道保守の政策基調を改めて強調したのだ。
李氏は、与党に対しては「極右犯罪党の道を歩んでいる」と批判した。李氏は「極右の本性を露呈し、形式的な保守の役割を放棄した」と言い、「内乱首謀者の弾劾に反対し、裁判所を武力侵略した憲政破壊勢力を庇護するのが『保守』であるはずがない」と話した。民主党の関係者は、「国民の力が極右化する状況下で、中道と合理的な保守まで民主党が包摂できることを示さなければならない」と主張した。
一方、権氏は記者会見で、「中道は包容と統合だが、李氏の実質的な行為は、排斥し、分断させている」とし、「中道の意味を変えているのが李氏だ」と批判した。そのうえて「李氏が中道志向の人物なのか、左派志向の人物なのか、包容と統合のリーダーなのか、それとも排斥と分断のリーダーなのか、国民に聞けば答えが出るだろう」と付け加えた。与党の李鍾培(イ・ジョンベ)副報道担当は、「体は左派なのに口先だけで保守を叫ぶ」と非難した。
与党内部では、尹大統領の最終弁論を控えて中道層の支持率が下がると、中道攻略の必要性をめぐって党内で異論も出ている。尹大統領の弾劾に反対する固い支持層の結集を維持しなければ早期大統領選挙で勝つことができないという主張に対し、「中道層に向けたメッセージを発信しなければならない」という声が高まっているのだ。与党の首都圏議員は、「中道層を引き寄せられる人物が大統領選候補になるのが望ましい」との認識を示した。
しかし、中道層の奪い合いに乗り出した与野党が理念攻防を繰り広げ、実質的な政策の変化を見せなければ、いずれブーメランを浴びる可能性があるという指摘が出ている。慶熙(キョンヒ)大学公共ガバナンス研究所のチェ・ジンウォン教授は、「与野党が選挙用の発言にとどまらず、具体的な政策を公約化する段階まで進まなければならない」とし、「そうして初めて有権者が比較と検証を通じて真意を確認することができる」と指摘した。
ユン・ミョンジン記者 チョ・グォンヒョン記者 mjlight@donga.com






