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テコンドーの「ガールクラッシュ」オ・ヘリ氏、「努力したらできた」

テコンドーの「ガールクラッシュ」オ・ヘリ氏、「努力したらできた」

Posted February. 18, 2025 08:58,   

Updated February. 18, 2025 08:58


オリンピックのような国際大会で、メダルを取れなかった選手が評価されることは珍しい。ノーメダル選手の指導者が注目されることはなおさらない。韓国体育大学のオ・ヘリ教授(37)は、その難しい仕事をやり遂げた数少ない人物だ。オ氏は昨年、パリ五輪テコンドー男子80キロに出場したソ・ゴンウ選手(22)のコーチだった。ベスト16入りをかけた試合で、審判の誤審でソ選手が敗北のピンチに追い込まれると、オ氏は競技場の上に飛び上がって判定の訂正を引き出した。ソ選手が劇的な逆転勝ちを収めた時は選手の頭をなで、準決勝で敗れてメダル獲得に失敗した時は涙を流した。時には虎のような、時には母親のような姿を見せ、多くの人々はオ氏を「ガールクラッシュ」と呼んだ。

五輪後、大学に戻ったオ氏は「選手として出場した2016年リオデジャネイロ五輪で、金メダルを取ってきた時は、私に気づく人が多くなかった。ところが、昨年のパリ五輪後は先に挨拶してくる人が増えた」と笑った。

リオ五輪で、オ氏は3度目の挑戦の末に金メダルを獲得した。当時28歳で、韓国テコンドー史上最高齢の五輪金メダルだった。あれほど苦労して金メダルを取ったにもかかわらず、オ氏は泣かなかった。

しかし、パリ五輪では、弟子を見つめながら涙を流した。オ氏は、「一緒に運動したことが、パノラマのように通り過ぎた。一所懸命に頑張らなかったら、泣かなかっただろう。申し訳ない気持ちと後悔でいっぱいだった」と話した。

オ氏は「毒蛇」だった。明け方、午前、午後に続き、夜間にもトレーニングをさせた。他の選手たちは早くから脱落したが、ソ選手は違った。オ氏は「本当に強く、ひどく接した。ところが、ゴンウはその厳しいトレーニングが終わった後も、もう30分間見てほしいと言ってきた選手だ」と話した。

トレーニングのハイライトは、毎週月曜日午前に行う「サーキットトレーニング」。数十キロの円盤を使って筋トレを1分間行った後、全速力で2分間走るのが1セットだ。これを3セットこなせば時間は9分しかかからないが、その効果はものすごい。オ氏は、「最初は汗がおびただしく流れ、ある瞬間汗が止まる。めまいがして頭がくらくらする」と話した。以後、直ちにサイクルに移動して15秒間の全力疾走、そして45秒の休みを10回繰り返す。合わせて30分にもならないが、筋力と心肺持、久力を育てるには十分だ。

オ氏本人が、このトレーニングの効果を十分に得た。選手時代、オ氏は基本体力が弱かった。運動神経も良い方ではなかった。しかし、韓国体育大学のチョン・グァンチェ教授の指導の下、「地獄のトレーニング」を勝ち抜き、結局世界トップに立つことができた。オ氏は、「大学入学の時は、走るといつもビリだった。ところが、厳しく走っているうちに、ある瞬間克服できた」とし、「体力が良くなると、技もそれに従って良くなった。私は遅れて成功したが、弟子たちは一日も早く成功を味わってほしい」と話した。

来月の国家代表選抜戦を控え、オ氏は一所懸命に選手たちを指導している。午前、午後、夜間運動をして、週末にも1タイムずつトレーニングを行う。週7日間のトレーニングを続けるオ氏は、「人の良い先生よりは、弟子が夢を叶えるのに役立つ人になりたい」とし、「目標に向かって最善を尽くせば、金メダルでなくても今後の人生を生きるのに役に立つのではないかと思う」と話した。