トランプ2期目、私たちが知るあの米国はもうない
Posted January. 21, 2025 08:51,
Updated January. 21, 2025 08:51
トランプ2期目、私たちが知るあの米国はもうない.
January. 21, 2025 08:51.
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第2次トランプ政権が20日に発足した。トランプ大統領は就任前日の集会で、「米国の衰退が続いた長い4年間に幕を下ろし、新しい時代が幕を開ける」とし、「歴史的なスピードと強さで行動し、私たちの国が直面するあらゆる危機を解決する」と明らかにした。そのうえで、不法入国者の追放、普遍的な関税の賦課、エネルギー産業の復興、官僚集団の改革など、大統領選挙公約の迅速な推進を誓い、「バイデン政権の急進的で愚かな大統領令は全て撤回されるだろう」と述べた。第2次トランプ政権は、「就任日の1日は独裁をする」と予告した通り、米国第一を掲げた100以上の大統領令とともに始まる。トランプ氏は、「国境への侵略を止め、私たちの足元に眠る『液体の金』(エネルギー資源)を解放する。米国の製品を作り、米国の製品を買い、米国人を雇用する国を築く。過激な左派の『目覚めた(woke)』理念を軍隊や政府から完全に排除する」と述べた。2021年1月6日の連邦議会襲撃事件で起訴された支持者らの恩赦とDEI(多様性・公平性・包括性)政策の撤回も公式化した。そうして開幕する第2次トランプ政権は、前任のバイデン時代とは全く異なるだろう。さらに、これまで世界が知っていた米国とも全く異なる超大国の時代を予告する。「トランプ号」の米国は、第2次世界大戦以来、自由世界の中心軸として確固たる地位を築き、共産圏との冷戦に勝利した後、全世界の自由主義国際秩序を導いてきたあの米国ではない。自国の力と利益を優先するトランプ氏にとって、民主主義や人権のような価値や規範は眼中にない。同盟に対しても徹底した損益計算で行われる取引、それも米国に有利な利己的な取引しかない。トランプ2期目は、その予告編であった1期目とは全く異なるだろう。トランプ氏自身が戸惑い、内部の反対とサボタージュにぶつかってまごついた1期目の時とは異なり、今回は忠誠派で内閣と参謀陣を構成した。4年で任期が終わるため、顕著な成果を出すためにものすごいスピード戦に突き進むということだ。妨げとなる内外の障害物が何であれ、乱暴に扱うという警告も送った。実際、第2次トランプ政権が発足する前に世界は震撼した。トランプ氏は、カナダを米国の51番目の州に編入し、パナマ運河とグリーンランドの支配権を確保するといった主権侵害発言も躊躇することなく、領土拡大の欲望を露わにした。その影響で、カナダ首相が辞任することとなった。イスラエルとハマスは、「地獄が訪れる」という脅しに慌てて停戦に合意した。このような急激な地殻変動に世界各国は超緊張の中でシートベルトをしっかりと締めている。韓半島も、当面の優先順位は後回しだが、劇的な変化が予想される影響圏の一つだ。トランプ氏が北朝鮮との直接取引に乗り出し、核軍縮や凍結による「スモールディール」を推進したり、在韓米軍削減を武器に在韓米軍駐留経費負担増額を迫ったりした場合、韓国は窮地に陥るほかない。また、昨年、過去最高に達した対米貿易黒字は、米国の関税政策の主要な標的になる可能性がある。にもかかわらず、韓国政府は弾劾政権のリーダーシップ空白の中、戦々恐々としているだけだ。大統領権限代行体制で、第2次トランプ政権との意思疎通チャネルの構築も容易ではない。それでも外交部を中心に米国の動向を綿密に分析し、機敏な対応策を設けなければならない。米外交問題評議会(CFR)名誉会長のリチャード・ハース氏は、東亜(トンア)日報の新年インタビューで、「韓国政府はトランプ2期と『白紙の状態(clean slate)』から始めなければならない」と助言した。新しい戦略的思考が必要な時だ。
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第2次トランプ政権が20日に発足した。トランプ大統領は就任前日の集会で、「米国の衰退が続いた長い4年間に幕を下ろし、新しい時代が幕を開ける」とし、「歴史的なスピードと強さで行動し、私たちの国が直面するあらゆる危機を解決する」と明らかにした。そのうえで、不法入国者の追放、普遍的な関税の賦課、エネルギー産業の復興、官僚集団の改革など、大統領選挙公約の迅速な推進を誓い、「バイデン政権の急進的で愚かな大統領令は全て撤回されるだろう」と述べた。
第2次トランプ政権は、「就任日の1日は独裁をする」と予告した通り、米国第一を掲げた100以上の大統領令とともに始まる。トランプ氏は、「国境への侵略を止め、私たちの足元に眠る『液体の金』(エネルギー資源)を解放する。米国の製品を作り、米国の製品を買い、米国人を雇用する国を築く。過激な左派の『目覚めた(woke)』理念を軍隊や政府から完全に排除する」と述べた。2021年1月6日の連邦議会襲撃事件で起訴された支持者らの恩赦とDEI(多様性・公平性・包括性)政策の撤回も公式化した。
そうして開幕する第2次トランプ政権は、前任のバイデン時代とは全く異なるだろう。さらに、これまで世界が知っていた米国とも全く異なる超大国の時代を予告する。「トランプ号」の米国は、第2次世界大戦以来、自由世界の中心軸として確固たる地位を築き、共産圏との冷戦に勝利した後、全世界の自由主義国際秩序を導いてきたあの米国ではない。自国の力と利益を優先するトランプ氏にとって、民主主義や人権のような価値や規範は眼中にない。同盟に対しても徹底した損益計算で行われる取引、それも米国に有利な利己的な取引しかない。
トランプ2期目は、その予告編であった1期目とは全く異なるだろう。トランプ氏自身が戸惑い、内部の反対とサボタージュにぶつかってまごついた1期目の時とは異なり、今回は忠誠派で内閣と参謀陣を構成した。4年で任期が終わるため、顕著な成果を出すためにものすごいスピード戦に突き進むということだ。妨げとなる内外の障害物が何であれ、乱暴に扱うという警告も送った。
実際、第2次トランプ政権が発足する前に世界は震撼した。トランプ氏は、カナダを米国の51番目の州に編入し、パナマ運河とグリーンランドの支配権を確保するといった主権侵害発言も躊躇することなく、領土拡大の欲望を露わにした。その影響で、カナダ首相が辞任することとなった。イスラエルとハマスは、「地獄が訪れる」という脅しに慌てて停戦に合意した。このような急激な地殻変動に世界各国は超緊張の中でシートベルトをしっかりと締めている。
韓半島も、当面の優先順位は後回しだが、劇的な変化が予想される影響圏の一つだ。トランプ氏が北朝鮮との直接取引に乗り出し、核軍縮や凍結による「スモールディール」を推進したり、在韓米軍削減を武器に在韓米軍駐留経費負担増額を迫ったりした場合、韓国は窮地に陥るほかない。また、昨年、過去最高に達した対米貿易黒字は、米国の関税政策の主要な標的になる可能性がある。
にもかかわらず、韓国政府は弾劾政権のリーダーシップ空白の中、戦々恐々としているだけだ。大統領権限代行体制で、第2次トランプ政権との意思疎通チャネルの構築も容易ではない。それでも外交部を中心に米国の動向を綿密に分析し、機敏な対応策を設けなければならない。米外交問題評議会(CFR)名誉会長のリチャード・ハース氏は、東亜(トンア)日報の新年インタビューで、「韓国政府はトランプ2期と『白紙の状態(clean slate)』から始めなければならない」と助言した。新しい戦略的思考が必要な時だ。
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