
務安(ムアン)空港に胴体着陸し炎上した済州(チェジュ)航空機に搭載されていたブラックボックスが、衝突の約4分前から停止していたことが判明した。最も緊迫した瞬間の操縦士たちの会話だけでなく、事故機の速度、高度などを収めた飛行記録もすべて保存されていなかった。特に事故機には電力供給中断(シャットダウン)の状況でもブラックボックスに電源を供給できる電力補助装置がなかったことが明らかになった。事故機の最後の4分間の記録が途切れ、事故原因の究明が難しくなるのではないかという懸念が高まっている。
国土交通部の航空鉄道事故調査委員会(事調委)は11日、「米国ワシントンにある国家運輸安全委員会(NTSB)で事調委調査官の立ち会いのもとデーターを分析した結果、衝突直前の4分間、コックピット・ボイスレコーダー(CVR)とフライトデータレコーダー(FDR)が作動しなかったことを確認した」とし、「ブラックボックス(CVR、FDR)が2つとも停止した原因を把握する計画だ」と明らかにした。
ブラックボックスの作動停止が確認されたことから、事故機がシャットダウン状況にあった可能性が高まっている。エンジンがすべて停止し、飛行機への電力供給が中断されたのだ。このため、鳥の群れとの衝突がシャットダウンの原因だったのかどうかの究明が必要になりそうだ。
専門家らは、事故機にブラックボックス専用の電力補助装置がなかったことを残念な部分として指摘している。2018年以降、韓国に導入された航空機にはシャットダウン状況でもブラックボックスに電力を供給できる電力補助装置の搭載が義務付けられている。しかし、事故機は2017年に導入さ、該当規定の対象ではなかった。現在、韓国で運航中の事故機と同一機種(ボーイング737-800)の2機のうち1機は、ブラックボックス専用の電力補助装置がないことが確認された。韓国航空大学のキム・インギュ飛行教育院長は「事故が起きなければ明らかにならなかった事実が、今になって明らかになった」とし、「規定適用対象でなくても、航空会社が自主的に安全確保のために努力すべきだ」と助言した。
イ・チュクボク記者 bless@donga.com






