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ショート、リール、1.5倍速、チケット料金、裏に潜む真の危機

ショート、リール、1.5倍速、チケット料金、裏に潜む真の危機

Posted September. 07, 2024 09:51,   

Updated September. 07, 2024 09:51

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映画のチケットが値上がりして映画館に人がいないというある俳優の発言が物議を醸した時、今夏に訪れたカリフォルニアのある都市の映画館を思い出した。大型ショッピングモールにあるマルチシアターで、ディズニーが公開した話題の新作を見に行ったのだが、私の家族と子ども連れの男性の2組だけだった。平日の昼間とはいえ、学校が休み中だったので、こんなに空いているとは思わなかった。空っぽの上映館とアニメの派手なセリフが醸し出す不調和がもの寂しかった。

映画館産業の低迷は国内に限った現象ではない。市場調査会社コムスコアによると、昨年の北米の興行収入は90億ドル強にとどまった。「バービー」などのヒット作が出てパンデミックの打撃を回復したものの、依然として2019年より20%、18年より24%減少した数値だ。議論を呼んでいるようにチケット料金が原因なのだろうか。

米国のチケット料金は国内総生産(GDP)上位20ヵ国の中で中間程度だ。毎年平均チケット料金指数を発表するザ・ナンバーズによると、昨年の米国の平均価格は10.78ドルだった。所得に対する価格はより低い。韓、米、日、中、仏の最低時給基準で映画鑑賞のための労働時間を計算した映画振興委員会報告書(21年基準)によると、米国は46分で、5ヵ国中間の韓国(66分)よりはるかに少なかった。負担のない価格でも観客は減ったということだ。

韓国の料金も額面価格と異なるところがある。週末料金で1万5千ウォンだが、通信会社の割引などが一般化されており、定価を支払うケースは稀だ。今年上半期の国内映画館の客単価は9768ウォンだった。昨年より3.1%下がった数値だ。

料金のせいにするのは簡単だが、個人的な好みに応じて財布を開く価値消費の時代に、映画館の苦戦をチケット料金だけで説明するのが難しいのは当然に思える。「映画を早送りで見る人たち」を書いた日本の作家、稲田豊史氏によると、ショートやリールのような短いコンテンツが登場し、文化は「鑑賞」から「消費」の対象となり、コストパフォーマンスが絶対的な基準になった。10分であらすじを要約したコンテンツがあふれる時代に、2時間を耐えなければならない映画館は、お金、時間、機会費用など、すべての面でコスパの低い空間になってしまったということだ。

演劇のような舞台芸術は鑑賞者が好きなように見ることができないし、本はそもそも読者が読む方法を決めることができたが、映画は違う。見るものは溢れ、時間は不足している時代、映画館の受身的な観覧が「非効率」と感じるようになった人々にとって、早送り可能な代替品が毎日溢れることで、映画の享受方法を変えた。

逆説的に、観客の期待はより高くなった。早送りやスキップを諦めてもいいという確信がなければ映画館に行かないからだ。「ポップコーン脳」(即時の刺激に慣れた脳)と効率的なコンテンツ消費の中で、現在の映画館はどれだけ独自の魅力を備えた作品を差別的な体験の中で提供しているのだろうか。今、価格論争よりも重要なのは、これに対する答えのようだ。