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キオスクのないカフェ、対面サービスの価値

キオスクのないカフェ、対面サービスの価値

Posted February. 02, 2024 08:33,   

Updated February. 02, 2024 08:33

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最近、キオスク(セルフ注文システム)で注文するカフェに立ち寄ったが、同じコーヒーを1杯追加する方法が分からず、しばらく迷った。1分以上キオスクと格闘した末、無事に注文を終えた。幸い、後ろに待つ人がいなかったからできた。人に注文していたら、「同じものをもう1杯ください」の一言で済んだだろう。

新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降、非対面サービスの需要が増え、キオスクやタブレットPC、無人レジを設置したところが多い。店主の立場では人件費を削減でき、非対面サービスを好む顧客も多く、カフェやレストランはもとより、映画館、駐車場、塾など様々な業種に拡大する傾向にある。

無人店舗が増加しているが、対面サービスならではの価値を重視するところでは、まだ人が注文を受けている。

スターバックスはまだキオスクを導入していない代表的な店舗の一つだ。アプリを通じた非対面注文方式であるサイレンオーダーがあるが、店内にキオスクは設置していない。注文したコーヒーが完成した時も、振動ベルの代わりにスタッフが顧客の名前を直接呼ぶ方式を採用している。顧客とスタッフが交流することで得られる経験を重視しているからだ。

『スターバックス 輝きを取り戻すためにこだわり続けた5つの原則』の著者、ジョゼフ・ミケーリ氏は、「コーヒーを販売する他の多くの場所とは異なり、スターバックスは『スターバックスの経験』を通じてブランド価値を構築した」とし、「スターバックスの経験は、従業員が顧客との関係の中で毎日蘇る」と指摘した。

最近、米国と英国では、パンデミックを機に急増した無人レジを撤収したり、減らしたりする店舗が増えている。無人レジは消え、その場所を人が埋めている。

米国とメキシコで1万9千以上の店舗を運営する雑貨チェーン、ダラー・ゼネラルは、半分以上の店舗に無人レジを導入したが、最近これを縮小し、全面的な従業員の再配置に踏み切った。英国のスーパーマーケットチェーン「ブース」も、無人レジを導入した28店舗のうち2店舗を除く全てで無人レジを撤収することを決めた。

再び「ロボットではなく人」に戻った理由は何だろうか。顧客のフィードバックと内部評価を分析してみると、無人レジが与える人件費削減と時間短縮効果が期待に及ばなかったからだ。ある研究によると、無人レジ関連の損失率は約4%で、小売業種の平均損失率の2倍以上だ。少額の盗難と故意のない顧客の単純なミスが損失率を高める要因だ。さらに、自分でバーコードを読み取って清算しなければならない顧客の不満も、再び人間に戻った理由の一つだ。

ますます深刻化する人手不足に人材の需給と管理の難しさを軽減する無人化のメリットは明らかだ。おそらくこの流れに逆らうことはできないだろう。ただ、非対面を好む顧客と同じぐらい従業員と交流できる対面サービスを求める顧客も少なくないため、急速な無人化ではなく、均衡点を追求するのが望ましい。技術に不安があったり、キオスクの操作が難しい顧客のために、店舗に一人くらいは対面で注文を受けるスタッフを配置したり、業種によって千差万別であるキオスクの操作方法や注文方法を標準化して操作の難しさを軽減すれば、無人化時代の寂しさを少しは減らせるのではないだろうか。