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英「郵便局スキャンダル」、えん罪700人を救済…TVドラマで世論沸騰

英「郵便局スキャンダル」、えん罪700人を救済…TVドラマで世論沸騰

Posted January. 12, 2024 08:03,   

Updated January. 12, 2024 08:03

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会計システムの欠陥のため、英国の郵便局職員約700人が不当に横領犯とされた「郵便局スキャンダル」の被害者が約10年ぶりに救済を受ける。

英国のスナク首相は10日、「新たな法律を導入し、被害者たちの有罪判決をすべて無効にする」と述べた。スナク氏は、郵便局スキャンダルについて「英国史上最大のえん罪事件のひとつ」とし、「被害者は正義と補償を得なければならない」と主張した。現地メディアによると、英国で法廷判決が一括無効となる事例は初めて。

「郵便局スキャンダル」は、英国の郵便局で1999年から2015年にかけて、窓口の現金と会計システム上の残高が一致しないことから、郵便局長らが不正経理や窃盗などの罪で刑事訴追された事件だ。その後、これは郵便局が1999年に導入した富士通の会計システム「ホライゾン」の欠陥が原因であることが判明した。この影響で、郵便局関係者236人が投獄され、4人以上が自ら命を絶った。返済のために破産した人も少なくなかった。

スキャンダルは2009年、英国の情報技術(IT)専門誌「コンピュータ・ウィークリー」が問題を指摘し、状況が急変した。その後、被害者555人が集団訴訟を起こし、19年にシステムに欠陥があるという判決が下された。しかし、えん罪が認められたのは93件だけで、補償金も一部しか支払われなかった。

忘れられていた事件は、今月1日からITVの4部作ドラマ「ミスター・ベイツ対郵便局」が放映され、再び注目を集めた。まだ法的救済や補償が行われていないという事実にスポットライトが当てられ、批判的な世論が起こった。警察は、会計不足分を補填させた疑いで郵便局を捜査することを決め、富士通への法的対応も検討している。

英政府は、救済のために、被害者から「無罪の誓約」を受け、有罪判決を無効にした後、1人当たり60万ポンド(約10億ウォン)の補償金を支給する計画だ。もし横領が明らかになれば、誓約を根拠に起訴する。政府は今年中にすべての手続きを終える予定だ。

14年から19年に郵便局の最高経営責任者(CEO)を務めたポーラ・ベネルス氏は9日、ドラマ放映後、「大英帝国勲章コマンダー(CBE)の勲章を取り消せ」というオンライン請願に100万人以上が参加したことを受け、勲章を返納した。米紙ニューヨーク・タイムズは、「1本のドラマが10年間、どの政治家もできなかった勝利を収めた」と評価した。


キム・ボラ記者 purple@donga.com