Go to contents

インフレとの戦いは終わるまで終わりじゃないい

インフレとの戦いは終わるまで終わりじゃないい

Posted December. 01, 2023 09:47,   

Updated December. 01, 2023 09:47

한국어

「シュリンクフレーション」「スキムフレーション」「バンドルフレーション」「ストリームフレーション」…。

最近、あらゆる物価が高騰してできた様々な新造語だ。製品の容量や成分の含量を減らすのがそれぞれシュリンクフレーション(shrinkflation)とスキムフレーション(skimpflation)なら、個別製品より束製品の価格を上げるのはバンドルフレーション(bundleflation)だ。町内のスーパーで目撃できる物価高の時代の現状だ。これに、オンライン動画サービス(OTT)の購読料が一斉に値上がりするストリームフレーション(streamflation)まで加わっている。

「小細工」の価格引き上げは、インフレを抑えることがどれほど難しいかを端的に示す事例といえる。韓国銀行は、最近発刊した報告書で、「価格および賃金設定の形態の変化が、ディスインフレーション(物価上昇の減速)を遅らせる要因だ」と分析した。

実際、現在のインフレの基調は世界的な傾向だ。人口の高齢化による生産人口の減少と気候変動による農産物価格の高騰、脱税計化による生産コストの上昇などが一度に重なり、ほとんどの国が物価圧迫を受けている。著名な経済学者で英ロンドン政経大学(LSE)名誉教授のチャールズ・グッドハート氏は、「この30年は低金利の時代だったが、今後30年は人口の高齢化により、貯蓄は減り消費は増えるだろう」とし、金利高や物価高が長期間続くだろうと話す。

しかし、物価上昇の主な要因は国によって異なるため、インフレへの対応は差別化せざるを得ない。実際、韓国の10月の消費者物価の上昇率は3.8%(前年比)で、米国(3.2%)を上回っている。韓米物価の上昇率が逆転したのは、2017年8月以降6年2ヶ月ぶりのことだ。昨年の物価のピークから今年9月までの月平均の下落幅も、韓国(0.19%)が米国(0.36%)や欧州(0.57%)より小さく、物価上昇率の減速速度が遅いことが分かった。これは、エネルギーや食糧の自給度が高い米国に比べ、韓国は対外依存度が高いうえ、ドル高の影響を受けるためだ。さらに、しばらく抑えてきた電気・ガス料などの公共料金の引き上げの圧迫の影響も少なくない。米国に比べて労働市場が硬直し、市場競争が激しくない韓国の経済構造も、物価高の原因だという指摘がある。

最近、食品価格などを中心に物価が上昇すると、韓銀は30日に基準金利を据え置き、今年と来年の物価上昇率の予測値を各々3.6%と2.6%に引き上げた。来年末まで物価目標の2%の達成は難しい。物価高の局面が長引くいわゆる「粘り強い(sticky)インフレ」が本格化する恐れがあるという意味だ。

インフレは決して甘くない。国際通貨基金(IMF)の今年9月の報告書によると、1970年から現在まで56ヵ国で発生したインフレ111件のうち64件(57.6%)だけが、5年以内に落ち着いた。インフレが1年以内に落ち着いた事例は、12件(10.8%)に過ぎなかった。IMFは、「物価高を抑えるためには、緊縮政策を一貫性を持って維持することが重要だ」とし、「インフレ緩和の兆しが見えるからといって、生半可に緊縮を緩和してはならない」と助言した。代表的なインフレファイターである米国のポール・ボルカー元FRB議長の回顧録のタイトル「Keeping at it(緊縮持続で持ちこたえる)」は、韓国通貨当局も注目すべき教訓ではないだろうか。