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急発進の疑いで孫を亡くした60代の女性に「容疑なし」

急発進の疑いで孫を亡くした60代の女性に「容疑なし」

Posted October. 18, 2023 08:38,   

Updated October. 18, 2023 08:38


昨年12月、江原道江陵市(カンウォンド・カンルンシ)で、スポーツ用多目的車(SUV)を運転していたところ、急発進が疑われる事故で12歳の孫を失い、交通事故処理特例法上の致死容疑で立件された60代の女性に対し、警察が「容疑なし」と結論付けた。

江陵警察署は17日、この事件の運転手のA氏に対し、証拠不十分で不送検を決定したと明らかにした。

警察の今回の決定は、A氏の過失の可能性を認めた国立科学捜査研究院の鑑定結果を受け入れなかったものだ。国立科学捜査研究院は、事故車両のブレーキの系列に作動異常を誘発するほどの機械的欠陥が発見されなかったという理由で、「車両運転者が、ブレーキではなく加速ペダルを踏んで事故が起きた可能性がある」と判断した。

だが、A氏側は「国立科学捜査研究院の鑑定結果を信頼できない」として、製造会社を相手に民事訴訟を起こした。民事訴訟の過程で提出された民間専門機関の音響分析では、「ドライブレコーダーの映像に含まれた音響を分析した結果、変速レバーを変える音は感知されなかった」という結果が出た。

警察も、国立科学捜査研究院の鑑定結果が実際のエンジンを駆動しながら検査したものではないため、限界があると判断した。警察の関係者は、「国立科学捜査研究院の鑑定結果は、A氏の過失を裏付ける証拠にするには足りないと見た」と話した。

この事件は、昨年12月6日午後4時頃、江陵市洪濟洞(ホンジェドン)でA氏が運転していたSUV車が道路の横に落ちたことで発生した。一緒に搭乗していた孫が亡くなったが、残念な事情に全国から善処を願う嘆願書が殺到した。A氏の家族が今年2月、国会の国民同意請願に掲載した「急発進の疑い事故の発生時の欠陥原因の立証責任転換」の請願に約5万人が同意し、関連法改正の議論も行われている。


李仁模 imlee@donga.com