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インドとカナダの対立激化に米国がとばっちり懸念し困惑

インドとカナダの対立激化に米国がとばっちり懸念し困惑

Posted September. 25, 2023 08:53,   

Updated September. 25, 2023 08:53

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カナダ国籍のシーク教指導者ハーディープ・シン・ニジャール氏(写真)の死をめぐるインドとカナダの対立が、インドと米国の対立に激化する兆しを見せている。米紙ニューヨーク・タイムズは23日、カナダが死亡関連情報を入手するうえで米情報機関が協力したと報じた。事実が明らかになればインドが反発することが予想され、対中国牽制のためにインドが必要なバイデン米政権が困った状況に陥る可能性があるという観測が流れている。

人権を重視するカナダのトルドー首相は18日、「今年6月にニジャール氏がバンクーバー郊外で銃撃によって死亡した事件の背後にインド政府がいる」とし、これまで確保した物証を提示した。同紙は、米国が盗聴などを通じてこの物証を確保するのに役立ったと伝えた。米国、カナダ、英国、オーストラリア、ニュージーランドの5ヵ国は情報共有同盟「ファイブ・アイズ」を結んでいるが、今回の情報は米国がカナダだけに伝えたと付け加えた。

極右性向のインドのモディ首相は、「ヒンドゥー教優先主義」を標榜し、他宗教、他民族を排斥した。ニジャール氏もテロリストと規定した。これに対し、トルドー政権は、インドが自国民の死に関与したのは一種の内政干渉だとし、インドの外交官1人を追放した。インドは疑いを否定し、激しく反発した。カナダの外交官を追放し、カナダ国民へのビザ発給も停止した。この影響で、両国の自由貿易協定(FTA)交渉も全面停止した。

米国はトルドー氏の発言後、インドに真相究明を求めながらも、モディ氏に対する直接的な批判を控える「綱渡り外交」を繰り広げた。しかし、米情報機関の介入事実が明らかになれば、インドが米国の中国牽制戦線への参加に及び腰になる可能性を排除できない。

英BBCは、米国、英国など欧米先進国が全面的にカナダの肩をもたないことに対し、トルドー政権が不満を感じていると伝えた。しかし、インドは人口でカナダの35倍にのぼり、世界で最も速い経済成長を見せていることなどを考えると、この流れに大きな変化はないだろうと診断した。「力」が優先する国際情勢の冷酷な現実ということだ。


キム・ボラ記者 purple@donga.com