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麻薬犯の半数が再犯、「刑務所で学ぶ」

Posted September. 21, 2023 08:43,   

Updated September. 21, 2023 08:43

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ソン氏(52)は2016年1月、麻薬類密輸容疑で4年6ヵ月の実刑を言い渡され、慶北北部刑務所に収監された。「麻薬犯を他の受刑者と遮断する」という規定により、ソン氏は刑務所で他の麻薬犯たちと過ごした。収監中に知り合った「刑務所仲間」を通じて中国人の麻薬の売人を紹介されたソン氏は、出所後、国際的な麻薬流通網を構築した。カンボジア、中国、ナイジェリアなど海外に拠点を置く麻薬組織を作り、刑務所仲間6人を韓国内流通に加わらせた。

ソン氏は今年4月、ソウルや大邱(テグ)などで623億ウォン相当のヒロポン18.7キロを流通させようとして捕まった。警察関係者は、「刑務所で築いたネットワークをもとに、より大きな規模の麻薬犯罪に及んだ典型的な事例」と話した。

●刑務所で新種麻薬の製造法伝授

20日、東亜(トンア)日報の取材を総合すると、最近摘発された麻薬犯罪の多くは、刑務所で築いたネットワークを基盤にしたものだった。

現行法には、「麻薬犯罪者の場合、他の受刑者との接触を遮断する」と規定されている。拘置所や刑務所はこれを根拠に、麻薬犯罪者を他の受刑者と分離して管理するのが一般的だ。そのため、初犯と再犯、流通業者と製造業者が同じ部屋で過ごすことが多い。このため、麻薬犯罪者同士のネットワークが生まれ、出所後に再び麻薬類犯罪に関わるケースが少なくないという。

刑務所内で新種麻薬の製造技法を伝授されることもある。21年7月、釜山(プサン)で約3万3千回分の量のヒロポンを製造し、流通を試みて捕まった30代男性は、製造法を刑務所仲間から伝授されたという。警察関係者は、「被疑者は化学薬品を分離したりする計量カップと遠心分離機などを装備してヒロポンを作ったが、刑務所で長い時間にわたって製造法を詳しく学んでいなければ不可能だった」と説明した。収監仲間の勧めで新しい麻薬に手を出したり、やっとやめた麻薬に再び手を出したりするケースも多いという。

●麻薬犯罪者の再犯率50%以上

麻薬犯罪者の再犯率が高いのも、刑務所で築いたネットワークのためだ。最初は麻薬を手に入れるのが難しかった初犯者も、刑務所仲間を通じて簡単に麻薬を再び手に入れることができるようになるのだ。

国会行政安全委員会所属の金雄(キム・ウン)議員が警察庁から提出を受けた「麻薬類犯の再犯率現況」によると、麻薬犯の再犯率は今年上半期(1~6月)基準で50.8%にのぼった。麻薬犯罪者の再犯率は19年の54.5%から新型コロナウイルスの感染拡大でやや減少したが、今年再び上昇傾向に転じた。

専門家の間では、刑務所で麻薬犯罪者どうし過ごす現在の政策を見直す必要があるという指摘が出ている。

検察在職時代に麻薬捜査を専門とした法務法人LKB&パートナーズの金熙準(キム・ヒジュン)弁護士は、「今は刑務所が麻薬犯罪者養成所として機能している」とし、「供給者と単純使用者を分け、危険性の高い供給者は一般受刑者と共に収監し、単純使用者は治療を併用する方法が効果的だろう」と指摘した。建国(コングク)大学警察学科のイ・ウンヒョク教授は、「刑務所が教化より事故防止に重点を置いているため、副作用が現れている」とし、「すぐに分離が難しい場合は、小規模に分けて治療と教化を並行し、再犯率を下げなければならない」と指摘した。


ソン・ユグン記者 チュ・ヒョンウ記者 big@donga.com