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9級公務員の初任給が最低賃金より少ない理由

9級公務員の初任給が最低賃金より少ない理由

Posted July. 24, 2023 08:22,   

Updated July. 24, 2023 08:22

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来年の最低賃金が、今年より240ウォン(2.5%)上がった時給9860ウォンに確定した。1日に8時間、週5日間勤務の月給に換算すれば206万740ウォンとなる。これには週休手当ても含まれる。労働者が一週間全部勤すれば受け取る法定手当てで、5日間欠勤しなければ6日分の賃金を払わなければならないという意味だ。

これに対しソウル市公務員労組は20日、「いっそ9級1号俸(初任給)を最低賃金に合わせてくれ」という声明を出した。労組によると、公務員9級1号俸の月給は2018年から最低賃金に逆転され始め、今年は23万9780ウォンも少ない。今年の1号俸の月給は、昨年より1.7%上がった177万800ウォンに過ぎないためだ。公務員は労働基準法上、労働者ではないため週休手当てもない。

労組は、「一部からは、『基本給は少なくとも、手当てを多く受け取るのではないか』という論理を展開するのが、これは報酬の20~30%が諸税公課金として控除されることを看過したものだ」とし、「公務員の平均報酬は高いという錯視現象のために、下位職公務員の低い報酬が放置されている」と主張した。下位職初任公務員の場合、様々な手当てを受け取っても、実際の受取額は最低賃金より低かったり似たようなことが多いという。実際、会社員のコミュニティ「ブラインド」には、実際の受取額が200万ウォンにもならないという公務員の「証明文」が相次いで上がってきている。

昨年、地方職9級に合格した20代の女性は、公職をあきらめて就職準備を再びしている。3年間勉強に専念した末、夢に描いていた公務員になったが、月給が少なすぎると思ったからだ。彼女は、「唯一のメリットだった公務員年金も減り続けている状況で、人生を抵当に入れたくなかった」と話した。公職を退職する青年たちも毎年急増している。公務員年金公団によれば、経歴5年未満の公務員1万3032人が昨年辞めたが、これは2019年より72.6%急増した数値だ。韓国行政研究院の「2022年の公職生活実態調査」によると、20代や30代下位職(6~9級)公務員の転職希望理由の1位は、「低い給与」だった。

状況がこうなったのは、この間公務員の賃金が少なく上がったりもしたが、最低賃金が政治化され、急激に引き上げられたためだ。「最低賃金1万ウォン」が公約だった文在寅(ムン・ジェイン)政府は、最低賃金を年平均7.2%引き上げ、朴槿恵(パク・グンへ)政府も内需振興の名分で年平均7.4%引き上げた。現政権も、小商工人の反対にもかかわらず、今年は5%、来年は2.5%など引き上げ基調を続けている。

ほとんどの先進国は、独立的な委員会や専門家グループが最低賃金を決定する。しかし、韓国は政府が任命した9人の公益委員がキャスティングボートを握っている。マクロ経済と労働市場を綿密に分析して決めなければならない最低賃金が、事実上、政府政策の領域に組み込まれている。

専門家たちは、労使政から独立的に最低賃金を決める構造を作らなければならないと口をそろえる。特に労使政代表27人が交渉するように決める現在の構造は、最低賃金を政治化させる主犯と指摘される。最低賃金を巡る対立を減らしながら制度を合理的に運営するためには、政府が一日も早く最低賃金の決定構造の見直しに乗り出さなければならない。