欧州連合(EU)が、ロシア産の石油に続き天然ガスにも価格の上限を設けることを検討すると明らかにした。EUのロシア原油価格の上限設定の方針を受け、ロシアのプーチン大統領が「参加国にはエネルギーを輸出しない」と圧力をかけたことに対応する性格が強い。EUとロシアの「エネルギー全面戦争」の機運が高まっている。
●EUvsロシア「エネルギー大戦」
EU行政トップのフォンデアライエン欧州委員長は7日、ベルギー・ブリュッセルで開かれた記者会見で、「ロシアのプーチン大統領によるウクライナでの非道な戦争の資金源を断たなければならない」とし、「9日のエネルギー相会議で、ロシアから輸入する天然ガスの価格の上限を設けることを提案する」と明らかにした。価格上限制は、ロシア産エネルギーを一定価格以下で購入しなければ海上輸送を許可しないとする制度で、事実上ロシアのエネルギー輸出を統制し、ロシアの収益を制限するという構想だ。
フォンデアライエン氏が天然ガスの上限価格の設定を提案したのは、プーチン氏が同日、ロシア・ウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムで、「石油の上限価格の設定に参加する国には、石油や天然ガスを輸出しない」と明らかにしたことへの対応とみられている。EUが、ロシアにエネルギー主導権を奪われないという考えを明らかにしたのだ。事実上、ロシアにエネルギー全面戦争を宣言したも同然という見方もある。
ただし、ロシアが「ウクライナの穀物輸出統制」でウクライナに圧力をかけていることは、EUにとってはジレンマだ。プーチン氏は東方経済フォーラムで、「黒海に輸出されるウクライナの穀物の大半は支援が切実なアフリカ諸国ではなくEU諸国に送られている」とし、「ウクライナの穀物輸入国を制限することをトルコ側と議論する」と明らかにした。ロシアは、ウクライナ侵攻直後に黒海を封鎖してウクライナの穀物輸出を阻止し、世界の食糧危機を招いたという非難を受けた。これを受けて先月封鎖を解除したが、ロシアが再び「穀物統制」カードを取り出したのだ。
●「ロシア天然ガスの威力が弱まった」
EUがエネルギー対決に乗り出した背景には、ロシアのエネルギー武器化に対する備えをある程度終えたという自信が作用したとみられている。米紙ニューヨーク・タイムズは同日、「ドイツをはじめEU国家の指導者の間で、これまでのエネルギー備蓄と代替エネルギー確保の努力によりエネルギー武器化の威力を一定部分減少させることができるという自信が生まれている」と指摘した。
ロシアの天然ガスの輸入の割合が高いEU諸国は、ロシアのエネルギー依存度を減らすための努力を続けてきた。昨年、ロシアの天然ガスに全エネルギー消費の49%を依存していたドイツは、天然ガスの輸入先を多様化し、公共機関の屋内温度や夜間照明の使用を制限する省エネ措置を施行した。この結果、先月ロシアの天然ガス依存度が10%以下に下がった。
フランスは今冬に使用する天然ガスの92%を備蓄している。イタリアも、ロシアのエネルギー依存度を40%から23%まで下げることに成功した。フォンデアライエン氏は、「ウクライナ戦争初期、40%だったEUのパイプラインによるロシアの天然ガスの輸入の割合が9%までにまで減少した」とし、「これまでの努力が成果を出している」と話した。
同紙は、「ロシア産エネルギーからの独立がどれほど成功しているかは依然として疑問」とし、「ロシア政府関係者は、エネルギー危機による経済的苦痛で、EUの決意は最後には崩れると見ている」と伝えた。
姜聲煇 yolo@donga.com