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憂鬱なヒーロー「バットマン」の探偵活躍記

憂鬱なヒーロー「バットマン」の探偵活躍記

Posted March. 01, 2022 08:32,   

Updated March. 01, 2022 08:32

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映画「ザ・バットマン」(写真)を見るためには、「重大決心」が必要だ。ランニングタイムが176分、なんと3時間に達する。しかし、いったん映画館で作品と向き合えば、傑作を収めるには3時間はやや短いという気がするかもしれない。

1日に公開する「ザ・バットマン」は、ブルース・ウェインが、腐敗した都市「ゴッサム・シティ」でヒーローとして活躍して2年になった時点からスタートする。新しいバットマンを演じた俳優ロバート・パティンソンは、これまで数多くのバットマンの中で最も憂鬱で孤独なキャラクターを演じる。億万長者で浮気者であるウェインと、真剣な正義の使徒「バットマン」という完全に分離した二重の自我をまだ構築できていない状態。このため、バットマンの時もウェインの時も、何に対しても真面目で寂しい。幼い頃、両親が殺されたトラウマと、犯罪者に対する怒りで憤怒を調整できないなど、自分をコントロールできない姿も見られる。

映画の見どころは、未完成のヒーロー・バットマンの成長期をのぞき見ることに加え、探偵としてのバットマンの活躍ぶりを見ることにある。1930年代、バットマンが初めて漫画に登場した当時、彼の役割は探偵だった。

映画の中の連続殺人鬼「リドラー」(ポール・ダノ)は、ゴッサム市の市長を殺害する。その後、警察庁長を殺害し、検事の体に爆弾を縛って、ゴッサム市長の葬儀場に突進させる。彼らには共通点がある。それは腐敗した権力層のエリートだということだ。リドラーは、殺害現場ごとにバットマンに手がかりを残す。バットマンはこの手がかりを通じて犯人を追跡し、自分が尊敬していた倫理的な父親の不快な裏面を知って葛藤する。

バットマンが犯人を追う過程で、まだ愚かな悪党「ペンギン(コリン・ファレル)」やバットマンの最大の助っ人「キャットウーマン(ゾーイ・クラヴィッツ)」など、バットマンシリーズを代表する人物も登場する。ファレルは、ペンギンになるために、1日に4時間もかかる特殊メイクを受けた。彼の素顔が少しも思い出せないほど、ペンギンそのものになったファレルの姿は、ハリウッドの特殊メイク技術に拍手を送らせる。

「猿の惑星」シリーズの名監督マット・リーヴスが創造したゴッサム・シティも、見どころと言える。彼が作った「ゴッサム・シティ」は、これまでのバットマンシリーズの中で最も陰うつだ。しかし、リーヴス監督は、ハリウッドのブロックバスターらしいアクションと追撃シーンで、映画の重さを時々吹き飛ばす。特にペンギンの乗った車を追いかけていたバットマンの車が、火炎を突き抜けて登場するシーンは圧巻だ。

「ダークナイト」シリーズで、ヒーロー物史上最大の傑作を誕生させたという評価を受けるクリストファー・ノーラン監督の重いバトンを受け継いだリーヴス監督は、ゴッサム・シティと初期のバットマンを最も暗く、しかし最も洗練した姿で描いた。


孫孝珠 hjson@donga.com