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嵐の感情

Posted February. 24, 2022 09:24,   

Updated February. 24, 2022 09:24

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真っ暗な夜を背景に裸の一組の男女が横たわっている。彼らが横たわるところは安楽なベッドではない。嵐が吹き荒れる夜の海のようでもあり、夜空の雲の上のようでもある。ものさびしい雰囲気にもかかわらず、女は男に抱かれ、目を閉じて眠る。一方、男は心配事があるのか、まんじりともせず空を眺めている。 

 

この印象的な絵は、オーストリアの表現主義の画家、オスカー・ココシュカの代表作だ。ココシュカは、不安なタッチと強烈な色彩、誇張された目鼻立ちと身振りでモデルの心理を描写することに卓越した。絵の中のモデルは、画家自身と恋人のアルマ。アルマは10代の時に数十曲を作曲した優れた作曲家であり、才能のある文人だった。美貌と社交性も際立ち、数人の男性が求婚したが、19歳年上の有名作曲家、グスタフ・マーラーと結婚した。結婚すると、夫が妻の作曲活動を禁じたため、アルマはうつ病を患った。結婚生活は9年後、マーラーの死で終わった。当時31歳だったアルマは、依然として美しく魅力的だった。再び多くの求愛を受けたが、彼女の選択は7歳年下のココシュカだった。2人は会うやいなや恋に落ちた。ココシュカはアルマをモデルに多くの絵を描き、情熱的に愛し合った。しかし、自分にあまりにも執着する青年画家にアルマはすぐに嫌気が差した。「嵐」とも呼ばれるこの肖像画は、2人が別れる直前に描かれた。不吉な予感のためか、ココシュカは眠る恋人とは違って、まんじりともせず夜を明かしている。風に揺れ動く海と黒い太陽が、画家の不安な心情を代弁する。

嵐のように激しい感情は冷めやすい。火花のような愛も長続きしないもの。ココシュカはこの絵を通じて恋人と永遠に一つであることを表現しようとしたが、絵が完成した後、アルマは風のように去ってしまった。その後、アルマは前途有望な若い建築家、ヴァルター・グロピウスと再婚するが、ココシュカは死ぬまで一生、彼女だけを思い、愛した。