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忍耐

Posted January. 07, 2022 08:36,   

Updated January. 07, 2022 08:36

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婁師徳は、女帝・則天武后の時代に2度も宰相を務めたほど、人柄と才能が優れた人物だ。歴史は婁師徳を忍耐と寛容の化身のように記録する。どのような理由からか。宰相である婁師徳が、刺史に赴任する弟に言った。人とは争うな。弟が答えた。もし人が私の顔に唾をはいたとしても、それを黙って拭うだけにします。兄が言った。それは、だめだ。顔に唾を吐いたなら、それは相手が憎んだためだ。唾を拭うと、相手を一層苛立たせるではないか。すぐに乾くので拭う必要はない。「唾面自乾(屈辱を味わっても心を乱さず、ひたすら耐える)」という故事成語はこの話に由来する。強い忍耐心を意味する言葉だ。

王十朋は南宋の朝廷が金に押されて南下すると、中原を回復するために決死の抗戦を挑んだ気概のある人物。王十朋は、婁師徳が異民族との戦争で輝かしい戦果を上げたことを称えてきた。ただし、認められているその特段の忍耐心に対してだけは、信じることができなかった。争いを避けようと自分の意に反する相手に寛容を施すことは容易ではない。まして顔に唾まで吐かれてはなおさらだ。しかし、事が終わって心が平穏になるのを経験した後、詩人は告白する。「婁師徳、あの方の広い度量」が理解できそうだと。名前を詩題にしたのは、その忍耐心を敬う気持ちの表明だろう。

成均館(ソンギュングァン)大学名誉教授