
未曾有の米国の「国家不渡り」の可能性を巡る警告音が高まっている。
ジャネット・イエレン米財務長官(写真)は28日、議会が行動に出なければ、来月18日ごろ、米国の債務不履行(デフォルト)が現実化しかねないと警告した。イエレン財務長官は同日、議会指導部に送った書簡で、「議会が連邦政府の負債限度を来月18日まで引き上げるか猶予しなければ、(国家不渡りを防ぐための)財務部の特別措置が底をつく可能性が高い」と明らかにした。
イエレン長官は同日、上院銀行委員会で発表した声明でも、「米国の債務不履行は、米経済に深刻な衝撃を与えるだろう」と指摘した。氏は、「議会は負債限度に早く対応すべきだ。さもなければ米国は史上初めてデフォルトに陥るだろう」とし、「そうなれば、米国は金融危機と景気低迷に直面することになるだろう」と警告した。
米国は、連邦政府がどれほど借金ができるかを法律で定めている。現在、米国の国家負債は28兆7800億ドルで、法的限度の22兆ドルを超えている。連邦政府はこの限度が適用され始めた今年8月から、国債発行などで新しい借金を調達できずにいる。この2カ月間は、国庫に残っている現金やさまざまな非常措置を動員して延命してきたが、まもなく限界に達するだろうという見方が多い。同日、イエレン長官が、その時期が10月18日だと議会に通知したのだ。
米国はかつても、負債限度に関する議会交渉が円滑ではなく、最後までグローバル金融市場を不安にさせたことが多かった。その度に議会で劇的な妥結を遂げ、実際の国家不渡りは現実化しなかった。今回も結局は両党が合意に達するだろうという展望が有力だが、主要金融会社は万が一の事態に緊張し、対策作りに乗り出している。
JPモルガンチェースのジェイミー・ダイモン最高経営者は同日、ロイター通信とのインタビューで、「米国のデフォルトの可能性に備え始めた」とし、「議会が災難を避けるために解決策を講じると見込んでいるが、万が一のデフォルト事態が買い戻し市場と金融市場、取引先との契約などにどんな影響を与えるかシナリオ別に点検し始めた」と明らかにした。
民主党は、負債限度の適用を来年12月まで猶予する内容の法案を、27日、上院に上程したが、全上院議席数の半分を持っている共和党の反対で否決された。共和党は、民主党が推進している3兆5000億ドル規模の福祉性予算を撤回するか譲歩しなければ、負債限度を猶予することに協力しないという立場だ。
兪載東 jarrett@donga.com