
「ミストロット」のように成功したコンテストを見ると、必ずこのようなシーンが出てくる。見知らぬ歌手が歌を始める。最初の一節を聞いた瞬間、息が詰まりそうだ。実に変なことだ。知っている歌でもないのに、知っていた歌のように聞こえる。歌が心に触れるのがどんなものかが分かる。
初めて読んだが、新しくて聞き慣れた詩。新しさと親しみを一緒に伝える詩は、「私の心にぴったりの人」のようにすぐ読者を占領する。そうだ。私は今コ・ジェジョンの「人の灯火」を語りたいのだ。
詩の風景は、かつて行ってみたところではない。しかし、分かるような気がする。行ってみたが忘れていたようで、 やっと思い出したようだ。記憶の誤りかと聞かれたら、「詩の奇跡」と答える。私の心の中に散らばった世界は、詩を通じて新たに構成される。詩という案内者を通じた旅が楽しくないはずがない。
そのうえ、この詩の言葉と描写が、一節一句、大変美しいではないか。うしろの垣根の竹の葉に砕ける月の光とは。庭の端をうろつきながら眺める垣越えの灯火とは。これはかなり前に先祖が開発し、私たちが忘れていたシーンだ。詩を通じて、持ったことはないが心の中に残っている、持つことはできないが、すでに持っている秋の心象が訪れる。もうそんな季節だ。