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抵抗しない猿

Posted June. 10, 2021 08:26,   

Updated June. 10, 2021 08:26

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2匹の猿が鎖につながれてアーチ型の窓の前に座っている。顔つきから見て、西アフリカの森林に生息する赤い顔のオナガザルだ。かわいそうな猿の向こうには、ベルギー港町アントウェルペンの美しい風景が見える。アフリカにいるべき猿は一体なぜここで縛られているのか。

16世紀のオランダの画家、ピーテル・ブリューゲルは、自身が生きた時代を鋭利な目で観察し、描こうとした。彼の絵は、写実的な描写も優れているが、複雑な隠喩と象徴で満たされ、様々な解釈を生む。A4用紙より小さなこの絵は、ブリューゲルが残した40点余りの油絵の中で最も小さいが、なぞのような作品だ。絵の中の猿は恐らく無慈悲な貿易商に捕まり、北欧まできたのだろう。当時、アントウェルペンで活動したブリューゲルに、このアフリカ猿は描く価値が十分な驚異的な動物だっただろう。

左側の猿は、丸い目を大きく見開いて私たちを見ており、右側の猿は、背を向けたまま下を向いている。周辺には、食べたクルミの殻が転がっている。猿は見慣れない欧州人が与える甘い餌にひかれて捕獲された可能性が高い。諦めて、狭い窓枠の空間に閉じ込められている異国の動物を見て、画家は何を感じたのだろうか。

ブリューゲルが活動した時代のオランダとベルギーは、スペイン王国の支配下で主権を奪われ、苛酷な暴政に耐えなければならなかった。独立闘争やカトリックに対抗する新教徒は逮捕され、処刑された。それでも皆がスペイン統治を拒否してはいないはずで、植民統治体制に順応して擁護する原住民もいただろう。

 

キリスト教文化で猿は貪欲さと罪悪、愚かさを象徴する。ブリューゲルは鎖につながれた猿を通じて食べ物と快適さのために自らの自由を捨てた愚か者を風刺している。暴政に抵抗せず貪欲さだけが残った者は、不憫な猿の境遇と相違ないと警告しているのだ。