Go to contents

「ポピュリストのトランプ氏が金正恩氏の力だけを育てた」 潘基文氏が回顧録出版

「ポピュリストのトランプ氏が金正恩氏の力だけを育てた」 潘基文氏が回顧録出版

Posted March. 06, 2021 08:15,   

Updated March. 06, 2021 08:15

한국어

潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長(76)が6月に出版される回顧録を通じて、トランプ前米大統領の外交安保政策を強く批判した。特に、トランプ氏は北朝鮮との非核化交渉の過程で金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の力だけを育てたと指摘した。

4日(現地時間)、国連に関するインターネットメディア「パスブルー」によると、潘氏は出版予定の自身の回顧録『断固たる:分裂した世界での国家の団結』の序文でこのような見解を明らかにした。潘氏は、「ポピュリストの不良たち(populist bullies)は、恐らく最も非効率な外交官」とし、「自己中心的なリーダーは、自身の戦略を曝け出し成果を自慢するが、これは国際外交の慣例に反する」と強調した。「トランプ氏は、北朝鮮が核兵器を放棄すると国民に約束したが、これは交渉が自分にとってどれほど重要かを示すことで、正恩氏の力だけを育ててしまった」と指摘した。

 

トランプ氏が北朝鮮核交渉の目標を「韓半島の非核化」から「米本土防衛」に変えたことも批判した。潘氏は、「米国が北朝鮮のミサイルが北米大陸に及ぼす影響だけを考え、アジアに対する影響は考えなかったので、アジアは憂慮した」とし、「同盟国として受け入れることができない態度」と指摘した。

トランプ前政権の「米国第一主義」政策と対イラン政策も強く批判した。潘氏は、「国家間の分裂、世界の一部の指導者が吐き出す憎悪の表現、多国間主義に対する脅威がいつにもまして憂慮される」と記し、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」や国連人権理事会などでボイコットしたり約束を守らなかった「一部国家」の態度を指摘した。一方主義的な外交路線で国際機関や協定から離脱したトランプ前政権を指していると、パスブルーは伝えた。

潘氏は国連事務総長を辞任した後、2017年に米国のニッキー・ヘイリー国連大使(当時)に会ったエピソードも紹介した。潘氏はヘイリー氏に、「イラン核合意から離脱するというトランプ氏の脅威が重大な失敗につながる恐れがある」とし、「合意を破棄することは、北朝鮮指導者に『米国は約束を守らない』という誤ったメッセージを与えるだろう」と述べた。米国は翌年の2018年に核合意から離脱し、その後イランもウラン濃縮の濃度を高めるなど核合意事項を破る結果となった。パスブルーは、「潘氏は退任後これまでトランプ氏の外交政策に対する考えを明らかにすることに慎重だったが、トランプ氏がホワイトハウスを離れたことで、怒りを表出した」と伝えた。


兪載東 jarrett@donga.com