Go to contents

重力に逆らって

Posted February. 15, 2021 08:03,   

Updated February. 15, 2021 08:03

한국어

「幼い頃、父親が話してくれた。砂糖の袋が落ちれば、地面と袋が少し動いても、同じ方向に動くと」(マット・ランデル『山岳の王たち』)

 

同書は、コロンビアの人気スポーツであるサイクリングの本質的な部分について要約した本だ。比較的知られていない国の1つだったコロンビアは、1980年代、欧州で開かれたサイクリング大会にコロンビア選手が初めて進出し、徐々に多様な分野で存在感を表わし始めた。ますます世界的にコロンビアに対して人々が関心を持ち始め、その過程を見守ったコロンビア国民は、サイクリング選手たちからインスピレーションを受け、すべてのことに挑戦的に最善を尽すという心構えを持つようになった。

コロンビアの人々に自転車は単にスポーツの一種目ではなく、自信を植え付け、新しい考え方を持つようにした運動だ。サイクリングがコロンビアに及ぼした力はそれだけ大きい。美しいコロンビアの田舎道、アンデス山脈の祝福を受けた山道を走ることができる自転車は、最も持続可能な方式で人と環境を結ぶ方法でもある。

 

自転車に乗ってみた人は分かる。自転車に乗る時、特に巨大で雄壮な山岳地帯にぶつかれば、重力に逆らって絶えずペダルを踏んで上がらなければならないことを。それゆえ自転車に乗ることは、単に選手が競い合う行為ではなく、人間という微弱な存在が巨大な自然の力に挑戦することだとも言える。

自転車に乗っている時は、自分の限界の半分しかできず、止めたい瞬間もやって来る。しかし重力を精神の力で耐え、自分の限界を破って100%をやり抜く時、初めて表現できない満たされた思いがこみ上げてくる。何であれやり遂げることができるという感じ。その時がまさに世の中と同じ方向に進んでいることを悟る瞬間だ。その魅力で自転車に乗りたくなるようだ。