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「養子縁組は人生と世の中を変える祝福」

「養子縁組は人生と世の中を変える祝福」

Posted January. 15, 2021 07:44,   

Updated January. 15, 2021 07:44

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「お母さん、友達が里親はみんな悪いんだって。養子たちはかわいそうだって」

肩を落とした娘の目つきがひどく揺れた。静かに子供を抱きしめてあげたシム某さん(51)は、涙が出るほど声が詰まった。養子縁組で得た娘。シムさんは2007年、公開養子縁組をした娘を、誰よりも愛で育てたと自負している。娘もどこでも「養子」と堂々と話してきた。しかし最近、めっきり落ち込んでいる。「ジョンイン事件」以降、冷たくなった周囲の視線のためだ。

「娘が、今後は友達や周りに何と話せばいいのかと聞いたんです。二の句が告げられませんでした。私もジョンイン事件に対して誰よりも悲しくて腹が立ちましたが、それが養子縁組を色眼鏡で見るようにするとは思いませんでした…。」

13日、児童虐待でこの世を去ったジョンインの里親に対する初公判が開かれた。最近、ジョンインの明るい顔が公開され、社会的公憤はいつになく大きくなった。しかし、最近予想できなかった方向へと飛び火している。里親がジョンインを虐待した事実が浮上し、養子縁組そのものを問題視する社会的偏見が広がっている。

まさかと思われるかもしれないが、養子縁組の家族らは最近、これを体で感じているという。子どもを養子に迎えたチョン某さん(60)は、「養子縁組家族という理由で、これほど萎縮するのは初めてだ」というほどだ。

「突然知人から電話がかかってくるようになりました。しかもいきなり『子供はどう過ごしているのか』という質問をします。ニュアンスだけを聞いてみても分かるじゃないですか。急に何か罪でも犯したような感じでした」

雰囲気がこう流れると、全国養子縁組家族連帯は7日、「社会的冷遇を止めてほしい」という訴えも発表した。 オ・チャンファ連帯代表は、「周囲の視線や他の家族の反対で、『養子縁組を見合わせたい』という予備養子縁組の親が増えている」とし、「養子縁組が必要な子どもは増え続けているのに、このように偏見が拡散すれば深刻な養子縁組の空白が生じる可能性がある」と残念がった。

ジョンインの里親への憤りとは別に、現実を冷静に見つめる必要もある。保健福祉部の統計によると、2019年に児童虐待と判断された3万45件のうち、里親が虐待を行ったケースは94件だった。虐待全体のうち約0.3%だ。3万件余りのうち72.3%は「生みの親」が犯した。

むしろジョンイン事件に対してもっと傷ついたのは養子縁組の親たちだった。3人の子どもを養子に迎えたシン某さん(59)は、「むしろ他人事だと感じなかった。里親たちはジョンインを『私のところに来ることもできた子供だ』と思う。もっと悔しくてもっと苦しい」と語った。

当然、今回の事件を機に、養子縁組の過程や事後管理に対するきめ細かな検証と支援はさらに強化されなければならない。しかし、それを児童虐待を防ぐ本質的な解決策と考えてはならない。養子縁組は「一人の子どもはもちろん、一家族の暮らしと魂を生かす崇高なことだ」(オ代表)ということを忘れてはならない。


キム・テソン記者 kts5710@donga.com