11月3日に実施される米大統領選まで100日余りを残した状況で、野党民主党のバイデン候補に大きくリードされているトランプ大統領が、選挙結果を受け入れない可能性を示唆する発言をし、懸念する声が広がっている。
トランプ氏は19日(現地時間)に放映されたFOXニュースのインタビューで、大統領選で敗北すれば受け入れるかと問われ、「私は敗北するのを嫌いで、あまり負けることもない。結果を見る必要がある」と答えた。「結果を受け入れるか」と繰り返し問われ、「イエスともノーとも言えない」と明言を避けた。
トランプ氏は、最近の世論調査でバイデン氏に大きくリードされている。19日に公開された米紙ワシントン・ポストとABCニュースの共同調査によると、バイデン氏の全国支持率は55%でトランプ氏(40%)を15ポイント差で大きくリードした。先月中旬以降、世論調査でトランプ氏がバイデン氏に2桁の差をつけられたのは7度目。ムーディーズ・アナリティックスも、失業率など経済指標を考慮すると、バイデン氏が538人の選挙人団のうち308人を確保してトランプ氏(230人)を引き離すと予想した。
政界では、トランプ氏が僅差で再選に失敗すれば、結果を受け入れない可能性があるとみている。トランプ氏は同日、新型コロナウイルスの影響で拡大する見込みの郵便投票をめぐって、「不正の温床になる」と強く反対した。民主党を支持するが投票率が低い若者や黒人有権者が郵便投票に大挙参加するのではないか心配しているとみられている。トランプ氏の個人弁護士だったマイケル・コーエン氏は、「トランプ氏と仕事をした経験に照らして、大統領選で敗れれば、絶対に平和な権力移譲はないだろう」と強調した。
2000年の大統領選で、民主党のゴア候補と共和党のブッシュ候補が法廷争いを繰り広げた。ゴア氏は、選挙人団数で266対271の僅差で敗れた後、無効処理された票が発見されたフロリダ州の票の再集計を求めた。ブッシュ氏の弟のジェフ氏がフロリダ州知事だったので論議が起こった。連邦最高裁が票の再点検の停止を命じると、ゴア氏は国民統合を呼びかけて潔く承服し、大きな混乱はなかった。
しかし、陣営間の対立が深刻な現状況でトランプ氏が大統領選に従わなければ、法的訴訟だけでなく熱烈な支持者と反対派が対立して暴力デモが起こる可能性も排除できないと懸念されている。
ワシントン=イ・ジョンウン特派員 lightee@donga.com