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千里眼で見るPM2.5の素顔

Posted March. 28, 2020 08:13,   

Updated March. 28, 2020 08:13

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1854年、英ロンドンでは原因が分からない病気で多くの人が死んだ。当時の人々は空気が感染症の原因という「ミアズマ説(Miasma Theory)」を信じた。汚染された空気を悪霊のように表現した当時の絵は、感染症の原因に対する人々の認識をうかがわせる。しかし、患者との空気接触を遮断する解決策は効果がなかった。

感染症で都市全体が絶望感に包まれた頃、当時医師だったジョン・スノーが立ち上がった。彼は地図に患者をしるし、彼らが井戸水を中心に分布していることを発見した。当時の技術ではコレラ菌を確認できなかったので、このような努力は無謀で漠然とした行為に近かった。しかし、スノーは一度つかんだ糸を話さなかった。むしろ命をかけて感染した患者を訪れ、疑われる井戸水の水を飲んだかどうか確認し、地図のしるしが増えるほど井戸水と感染が関連していることを確信した。

空気ではなく水でも感染する可能性があるという「病因論(Etiology)」だ。現代医学の誕生で記憶されるこの事件の土台にはデータがある。データ洪水の中で暮らし、ビックデータを背景とした人工知能(AI)を経験している私たちにとって、足でデータを収集し、手で表記するジョン・スノーの姿に異質感まで感じる。しかし、スノーの解決策は、当時の技術的な限界にもかかわらず、感染者の井戸水の摂取の有無を確認して得たデータを地図に表記し、ビックデータ化させて得た結果だ。

最近、韓国でもスノーの努力に次ぐニュースがある。独自の技術で作った環境・海洋観測衛星の千里眼2Bが静止軌道の進入に成功したのだ。先月19日、南米のフランス領ギアナ宇宙センターで発射された千里眼2Bは、約20日間の飛行を終え、今月6日に目標の静止軌道である高度3万5786キロ、東経128.25度に無事到着した。静止軌道衛星は常に地球上の同じ場所を観測できるので、大気の流れや気象状態を連続的に収集し、気象の変化を監視して予測するのに役立つ。

PM2.5(微細粉塵)の原因究明という使命を負って発射された千里眼2Bには、物体が光に反応する波長情報を細分化し、その成分を検出する「超分光映像」技術を活用した超精密光学観測装備が搭載されている。これを通じて、PM2.5だけでなくPM2.5を誘発する二酸化硫黄や二酸化窒素など20の大気汚染物質の濃度を1日8回測定することができる。PM2.5問題の素顔を明らかにする土台ができたのだ。

多くの専門家が話すように、国内と国外に原因があるPM2.5問題は、短期間内に解決できる問題ではない。しかし、今や国外のPM2.5の原因を明らかにできるデータが確保可能なので、さらに進んで国民が実際に息をする位置のデータを確保し、地域別に正確な現在のPM2.5情報と詳細な予報を国民に提供しなければならない。千里眼2Bの発射がPM2.5の原因究明だけでなく、国内のPM2.5予報の発展と対応の重要な契機になることを期待する。