昨シーズンまでプロバレーボールのファンは、ナ・ギョンボク(26=ウリィ銀行、写真)を「ナ・キボク(ナ起伏の意味)」呼ばわりした。
好調の時と不調の時との落差が大きいことから、何人かの意地悪なファンが「バイオリズム」を根拠にナ・ギョンボクの次の試合の成績を予測できるほどだった。あまりにも波が激しかったので、優れた身体能力(198センチ、90キロ)がもったいないとの揶揄もしばしば聞かされた。
そのナ・ギョンボクが変わった。レフトのナ・ギョンボクは、今シーズンの第4節まで試合当り平均16.9点と、韓国人選手の中で最も高い得点力を見せた。外国人選手を入れれば全体6位だ。昨シーズンまでは試合当り平均7.6点だった。得点力が2倍以上伸びたのだ。
先月29日、ウリィカードが練習をしている仁川(インチョン)市のソンリム体育館で取材に応じてナ・ギョンボクは、「正直、以前はメンタルがすぐ崩壊した。ミスをした後は、物凄く萎縮してしまった」とし、「(シン・ヨンチョル)監督がスポーツ心理学博士だ。『自分のリズムを失わなければミスは全く問題にならない』とアドバイスして頂いたお陰で、大分克服できた」と話した。その上で「監督はとても繊細に、細かい長短所まで把握していて、マンツーマンで指導してくださっている。自分がスパイクをする時、頂点から降りながらボールを打つ癖があったんだけど、気が付かなかった。監督から『頂点でボールを打ちなさい』と指導してもらってから、攻撃成功率を上げることができた」と話した。昨シーズンまで通算47%だったナ・ギョンボクの攻撃成功率は今シーズンは52.7%まで上がった。
ナ・ギョンボクは、「以前は力任せでやろうとしたけど、今は監督の指導のお陰で少しは頭を使うようになった感じだ。引退後も多くのファンにバレーボールIQが高い選手として記憶してもらえるよう、もっと頑張りたい」と語った。
ナ・ギョンボクが安定したプレーを続けてからチームも好調を維持している。首位のウリィカードは18勝6敗(勝ち点50)で2位大韓航空に勝ち点5差で第4節を終えた。ウリィカードは先月26日、三星(サムスン)火災を完璧に制し、チーム創設以来最多となる8連勝をマークした。
ナ・ギョンボクは、「代表チームに招集されて抜けていた3試合でチームが全勝を挙げ、自分の存在感が薄くなったようだ」と笑った上で、「入団後、今がチームの雰囲気が一番良い。試合途中、リードされていてもチームメイトたちの顔を見ると、負けそうにないエネルギーが感じられる」と語った。
2015~2016シーズンに新人ドラフト全体1位でウリィカードに入団したナ・ギョンボクは今シーズン終了後に自由契約選手(FA)資格を得る。すでに水面下で探りを入れるチームがあるという情報も流れている。ナ・ギョンボクは、「チームが優勝すれは、球界の自分に対する評価ももっと変わると思うんです。だから、今はFAではなく、優勝のことだけを考えています」と話した。
もしかしたら、ナ・ギョンボクはバレーボールIQだけでなく、「世渡りIQ」も高い選手として記憶されたいようだ。

黃奎引 kini@donga.com