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次期欧州委員長に初の女性、ドイツ国防相のウルズラ・フォンデアライエン氏

次期欧州委員長に初の女性、ドイツ国防相のウルズラ・フォンデアライエン氏

Posted July. 18, 2019 09:38,   

Updated July. 18, 2019 09:41


ドイツ国防相のウルズラ・フォンデアライエン氏(61)が、欧州連合(EU)初の女性委員長に選出された。11月1日から任期5年の「欧州合衆国大統領」になる。フォンデアライエン氏は16日、フランスのストラスブールの欧州議会本会議で実施された承認投票で、全体議員748人のうち383人(51.2%)の賛成を得た。承認直後、「結束して強いEUを作る」と宣言した。

米紙ニューヨーク・タイムズなど外信は、「初の女性委員長」の選出を紹介しながらも、華やかなタイトルに隠された課題も多いと伝えた。フォンデアライエン氏が得た383票は過半数(374票)よりわずか9票多いだけだ。ジャンクロード・ユンケル委員長は、2014年に422票で選出された。脆弱な支持基盤で委員長の仕事をするほかない状況だ。

英国のEU脱退(ブレグジット)、対米関係、気候変動なども難題だ。10月31日に予定されたブレグジットが緊急の問題だ。英国とパートナー関係を強調してきたフォンデアライエン氏はこれまで、「ブレグジット追加延期」を支持してきた。しかし、今月中に英国の次期首相になる可能性が高いボリス・ジョンソン前外相は15日、「ブレグジット『バックストップ』(英領北アイルランドとEU加盟国のアイルランドの通行および通関の自由を保障する安全策)条項を廃棄する」と宣言した。

英国がEUを離れれば、アイルランドと北アイルランドの間に障壁を作って税関を設置し、通行および通関を強化する「ハードボーダー(hard border)」が避けられない。住民の不便と経済の悪影響を憂慮したメイ首相は、「ブレグジットに関係なく2020年までEU関税同盟に残り、ハードボーダーを避ける」としたが、ジョンソン氏は受け入れない考えだ。ジョンソン氏が首相になれば、「EUと英国の順調な離婚」に難関が予想される。

関税の引上げや米軍駐留経費負担などで連日EUに迫っている米国も頭が痛い。特に、イラン政策をめぐる米国と欧州の意見の相違も、フォンデアライエン氏が仲裁しなければならない。ニューヨーク・タイムズは、「多国間主義、公正貿易などを強調したフォンデアライエン氏の過去の発言は、トランプ米大統領とは正反対だ」と指摘した。環境政策をめぐる論議も激しい。フォンデアライエン氏はEUが2030年までに温室効果ガスの排出量を1990年代に比べて40%以上削減し、温室効果ガスの削減努力が不十分な加盟国に税金を課す「炭素国境税」の導入に賛成する。一方、ハンガリー、チェコ、ポーランドなど化石燃料の依存度が高い東欧国家は、これに強く反対しており、難航が予想される。

フォンデアライエン氏は、保守指向の欧州統合派の政治家だ。フォンデアライエン氏の父親は外交官だった。1958年、ベルギー・ブリュッセルで生まれ、13歳の時にドイツに戻った。フランス語や英語も堪能だ。ハノーバー大学で医学を専攻した産婦人科医であり、2003年にニーダーザクセン州議員になって政界入りした。05年にメルケル首相に抜擢され、中央政府の内閣に進出した。家族・高齢者・女性・青少年相や労働・社会相を務め、13年に初の女性国防相になった。実業家の夫との間に2男5女がいる。フォンデアライエン氏の委員長就任で空席になった国防相は、「ミニ・メルケル」と呼ばれる、キリスト民主同盟のアンネグレート・クランプカレンバウアー党首(57)が務める。


金潤鍾 zozo@donga.com