
「なんでよ、私が妊娠だなんて!これからはぶくぶく太ることだけが残っている!…さようなら、ビキニよ!セクシー?ビーチ?すべて終わりだね」(「妊娠!簡単なことではなかったね」より)
新しい命の驚異、崇高な母性愛のようなものは登場しない。その代わり、不快感や恐怖、やるせない気持ちについて素直で辛辣な描写が空席を満たす。今月、国内に出版されたフランスのグラフィックノベル「妊娠!…」(ブックレシピ・2万ウォン)は、妊娠に接する女性の本音を果敢に描いて話題となった作品だ。「最初の妊娠はほとんど災害並みの青天の霹靂だった」と率直に打ち明ける作家マドモアゼル・キャロライン(44・写真)を20日、電子メールでインタビューした。
「人々話すことを嫌がる部分について話したかったんです。経験した女性なら誰でも、妊娠期間は決して楽しいばかりではないことを知っていますが、誰も打ち明けないんですよ。私の本を読んで、読者たちが『自分だけではないんだ』と共感することを望みました」
「妊娠!… 」は、妊娠中の女性を取り巻く周囲の状況を事細かく描いた。つわりや睡眠障害などの身体的苦痛から、ソファに座ってゲームばかりする小憎たらしい子供のパパ、煩わしくおせっかいをする友人、きれいなハイヒールを履きたい願望まで…。キャロラインは、「可能な限り様々な妊婦のエピソードを盛り込もうとした」とし、「ある読者が本に自分の経験を基にしたコメントをぎっしりつけたのを見て、改訂版では最初から『読者の経験』を書く欄まで作った」と話した。
キャロラインは、地元評論家の間で、「自伝的でありながらもユーモラスな作品を画く作家」として有名だ。10月に国内出版予定の氏の代表作「深淵の間クラッシュダウンの記憶」も、本人が3度に渡って深刻なうつ病を経験した経験談を扱った。作家は、「個人的に『深淵の間クラッシュダウンの記憶 』に愛着が最も大きい」とし、「うつ病にかかるのは個人の誤りではなく、隠したり、恥ずかしがることなどないと言いたかった」と説明した。最近、彼女が手掛けている作品「アーティストとしての私の人生」も、グラフィックノベル作家になった彼女が芸術学校で経験した経験や、この分野の産業構造などを扱った自伝的内容だ。
「自伝的物語を通じて、いつも小さな『反乱』を試みています。人は、うつ病の病歴を公然と口にしたり、『妊娠は地獄みたい』と訴えることを嫌います。しかし、私はわざわざそんなことだけを取り上げます。明らかに他の人たちも本音ではそう感じているだろうと信じているからです」
主に米マーベルやDCのスーパーヒーロー物を通じて韓国国内にも馴染みのグラフィックノベルという用語は、欧州では「小説(ノーブル)」に傍点を打つ文学性濃厚な作品を指す雰囲気だ。作家主義に基づいた芸術作品として認められ、単一の独立したジャンルとして定着する形となっている。キャロラインは、このようなグラフィックノベルの強みとして「深さ」を挙げた。
「昨年、初めて韓国を訪問したとき、恐ろしい勢いで成長しているウェブ漫画市場を見て非常に驚きました。ウェプ漫画ならではのスピード感と呼吸は、非常に大きなメリットだと思います。しかし、小さなスマートフォンの画面では、長いセリフを吟味したり、ページごとに力を入れた編集の醍醐味を感じることは難しくないでしょうか。私は古い人間だから、読むときに何日もかかるグラフィックノベルのスタイルが好きです!」
イ・ジウン記者 easy@donga.com






