英国のアーサー・クラークは「オデッセイ」シリーズなどのSF小説を書いた作家として有名だ。生前に「SF小説の3大巨匠」に挙げられるほどだった。この作家の作品に由来した「クラークの三法則」がある。第一法則、高名な老科学者が可能であると言った場合、それは概ね正しい。第二法則、可能性の限界を発見する唯一の方法は、不可能であるとされることまでやってみることだ。第三法則、十分に発達した科学技術は魔法と見分けがつかない。
◆クラークの第二法則は、無限の宇宙に挑戦する人類の揺るぎない意志を表す言葉に聞こえる。法と制度に対する挑戦も然り。善意で出発したとしても常にハッピーエンドが保証されるわけではない。医学専門大学院は良い意図が現実に勝つことができない代表的な事例だ。様々な専攻と背景の学生が医者になれる道を開いた医学専門大学院だが、工学部と自然科学部を荒廃させる副作用だけを生んだ。結局、2013年から多くの医学専門大学院が医学部に戻り、来年には5つだけ残る。
◆「不正請託および金品など授受の禁止に関する法律」(金英蘭法)も、腐敗阻止の善意から生まれた。しかし、9月末の施行後、あちこちで不協和音が聞こえている。外食産業は施行後2ヵ月間の売り上げが20%以上減り、年末に客足が遠のいていると嘆いている。大学卒業予定者が就職面接のために授業を抜ければ欠席扱いになる。制度の善意と古い慣行の衝突が起こっているのだ。
◆請託禁止法を違反して過怠金が科せられた初の判例が8日、春川(チュンチョン)地裁で出された。自分の告訴事件を担当した警察官に4万5000ウォンの餅1箱を渡した50代の女性が値段の2倍の9万ウォンの過怠金処分を受けた。この女性は、社会常規による小さな誠意だと反論したが、裁判所は職務に関連性のある公職者に渡した金品だと結論づけた。既存のどんな慣行が生き残るかは判例が増えれば方向が決まるだろうが、その過程で不名誉と費用負担を受ける当事者のため息は増えそうだ。
이진 논설위원 イ・ジン論説委員 leej@donga.com






